細川事務所通信

平成30年11月号 Vol.88

介護離職で経済損失6500億円、受け皿整備費の13倍…経産省試算

 家族の介護や看護を理由に仕事を辞める介護離職について、経済的な損失が年約6500億円に上るとの試算を経済産業省がまとめた。年間約10万人にのぼる介護離職は、収入源を失って離職者の生活が脅かされるだけでなく、企業などの経済活動への影響も深刻なことが明らかになった。

 先月下旬、同省の産業構造審議会部会に、大まかな試算結果として示された。

 総務省の就業構造基本調査によると、年10万人程度で推移している介護離職者のうち、40歳代以上が約9割を占める。男女別では女性が約8割となっている。

 こうしたデータに40歳代以上の男女の平均賃金などを加味し、介護離職者約10万人が働いていれば得られたであろう所得(所得損失)を契約2700億円と試算。企業などが生み出す付加価値(利益など)への影響額を試算し、介護離職による経済損失が約6500億円に上ると見込んだ。

 政府は「介護離職ゼロ」を掲げて特別養護老人ホームなどの受け皿整備を急ぐが、試算で明らかになった経済損失額は、厚生労働省が今年度予算に盛り込んだ受け皿整備費(483億円)の約13倍に相当する。

 介護をしながら働く人は増え続けており、企業にとって介護離職は、管理職も多い働き盛りの世代の人材流出に直結する。このため、介護休業・休暇などを国の制度よりも手厚くしている企業は増えている。

読売新聞 平成30年10月15日(月)10:23配信

 日本は世界最速・人類史上例を見ない超高齢社会へ進行しています。65歳以上の人口が、全人口の21%を超えると「超高齢化社会」と呼ばれ、日本は2007年に突入しました。上記の記事の内容も一因となっているようですが、「人手不足倒産」が過去最多ペースで増加しているとのことです。代替要員を探すという従来の雇用対策だけでなく、今いる労働力を大切にする「仕事と生活の両立支援」を考えておく必要があります。今回は「介護」に関する主な制度を紹介します。

【介護休業・介護休暇など】

 育児・介護休業法に定められている制度で、「要介護状態にある対象家族1人につき、93日まで」休業できるというものです。「要介護状態にある対象家族」とは、2週間以上、常時介護を必要とする①配偶者②父母③子④配偶者の父母⑤同居し扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫のことをいいます。また、実際に介護休業取得を考える前に、介護のための休暇などの活用も可能です。

 介護休業の目的は「介護体制を作るための時間」で、手助け・介護の役割分担や介護サービス利用等に関わる調整・手続きのために使うものです。実際に自分が家族を介護するための時間ではないことに注意してください。

【介護休業給付金】

 対象家族のために介護休業を取得する「雇用保険の被保険者」に、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数(賃金月額)×67%」の賃金補填の給付をする雇用保険の制度です。

【両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)】

 「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づき職場環境整備に取り組み、介護に直面する労働者が介護休業を取得した、又は介護のための勤務制限制度を利用した事業主(会社)に対して助成する、雇用保険の制度です。

11月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 10月1日から最低賃金が改定されています。

ひとこと

  今年は週末ごとに台風が来て、なかなか秋らしさを感じられませんね…。昨年の秋も雨が多かった気がしますが、日本の秋ってこんなでしたっけ?せっかく何をするにもいい季節ですから、「どうか好天が多くなりますように!」と願っています。

 さて先日、気になったニュースがあったので紹介します。警視庁警備部災害対策課のTwitter公式アカウントで、「道具を使わない缶詰の開け方」が紹介されました。コンクリートやアスファルトに、円を描くようにこすりつければ開くとのこと。蓋を取る際に、砂などが中に混入しないように注意する必要があるそうですが、保存食として重宝する缶詰だけに、災害時など道具が使えない状態で開ける方法は、いざという時に役に立つかもしれません。この方法を試す時が来ないのが一番ですが…。覚えておきましょう。

(所長:細川 知敬)

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