細川事務所通信

令和3年12月号 Vol.125

新型コロナ後遺症でも労災認定 国が労基署への相談

職場などで新型コロナウイルスに感染し労災だと認められる人が増える中、その後も新型コロナの後遺症に苦しむ兵庫県の男性が改めて労災の認定を受けていたことが分かりました。国は後遺症に当たる症状も労災の対象になるとして、相談するよう呼びかけています。 新型コロナの後遺症として労災が認められたのは、兵庫県内の特別養護老人ホームで理学療法士として働く40代の男性です。 男性は、ホームの利用者が新型コロナに感染したため濃厚接触者となり、去年12月にPCR検査を受けて感染が分かり、その後、労災と認められました。 2カ月近く療養していったん職場復帰したものの、強いけん怠感や息切れ、それに味覚障害などが続いて悪化したため、ことし4月から再び仕事を休んでいます。医師からは新型コロナの後遺症だと診断されたということです。 男性が改めて労働基準監督署に申請したところ「こうした症状は業務で感染した新型コロナとの因果関係が認められる」などとして、8月に改めて労災が認められました。男性は現在も働けない状態が続いていて、一緒に暮らす妻と5歳の娘の支えを受けて、自宅で療養に専念しています。~中略~ 国は後遺症に当たるケースも労災の対象になるとして、同じような悩みを抱えている人に対して労働基準監督署に相談するよう呼びかけています。

*後遺症で療養や休業が必要なケースは労災の対象*

国立国際医療研究センターなどは、去年2月からことし3月の間に新型コロナから回復した457人を対象に、その後の症状について聞き取り調査を行いました。 その結果、半年後でも26.3%の人に嗅覚や味覚の異常、けん怠感や息切れなどの症状があったということです。また、発症から1年経過しても8.8%の人にこうした症状が見られました。 国は、業務に関連して新型コロナウイルスに感染した際、後遺症のように症状が長引いて療養や休業が必要なケースも労災の対象になるとしています。~中略~

*仕事中に感染して労災認定 9月末までに約1万4500人*

厚生労働省のまとめによりますと、ことし9月末までに全国で1万4567人が、仕事中に新型コロナウイルスに感染し労災と認められています。 内訳をみると医師や看護師、介護士など医療や福祉で働く人が合わせて1万1214人で全体の7割余りを占めています。 また、「運輸業・郵便業」で376人、「製造業」で315人、「宿泊業・飲食サービス業」で245人など、さまざまな業種の人も労災が認められています。~以下略~ 2021年11月4日6時20分 NEWS WEB より引用

 医療や介護の従事者であれば、業務外での感染が明確でない限り、原則として労災の対象になります。その他の業種でも業務上の感染が明らかな場合のほか、感染経路が不明でも多くの顧客と接する労働環境だった場合は労災の対象になります。

 ただし、170万人超の新型コロナ感染者総数に対して、労災の認定者数は約1万4500件で全体の1%に満たない状況です。この背景には「職場で感染した可能性が高いと判断しやすい医療従事者以外は、そもそも申請自体が少ない」という問題があるようです。なぜかというと、取引先などに対するイメージが悪化する恐れがあり、申請に後ろ向きな企業が多いようで、全国の労基署には「感染経路が不明確なら、労災と認めなくても構わないか?」という問い合わせが相次いでいるとのことです。

 連日の報道を見ても、新型コロナから回復した場合でも、嗅覚・味覚障害や倦怠感などの後遺症に悩まされている方がとても多いです。上記の記事にあるように、後遺症のように症状が長引いて療養や休業が必要なケースでも労災の対象になれば、万が一新型コロナウイルスに感染した場合でも、安心して療養ができます。ウイルス感染に対する理解と制度の周知が必要です。

12月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払届を忘れないようにしましょう。

(所長:細川 知敬)

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