細川事務所通信

令和元年11月号 Vol.100

超大型台風の襲来、JRの計画運休、それでも社員を出社させるべきか?

■台風15号の教訓を生かせ

9月9日に上陸した台風15号は、千葉県を中心に大きな被害を出しました。送電塔2本と電柱84本が倒壊。約2000本の電柱が損傷したといいますから、被害の甚大さがわかります。

その15号をはるかに上回る超大型台風19号が、週末にかけて日本列島を直撃する可能性があります。

10月10日(木)、JR東日本、JR東海は、在来線や新幹線の計画運休を実施する可能性があると発表。小田急電鉄も西武鉄道も追随し、運転本数の削減などを発表しました。

とくに首都圏では、過去に経験したこともないほど交通インフラが機能しなくなる恐れがあります。12~13日は、最大限の警戒が必要です。

■個人任せは危険だ

これほど被害が予想される事態ですから、企業側も対策を講じるべきです。不要不急の社員を週末に出社させるべきではありません。リモートワークできる社員は自宅など、安全な場所で仕事させるべき。店舗経営をされている事業主なら、店舗ごと休業させるぐらいでいい。

理由は、社員の安全を守る、という点だけではありません。

警察や医療従事者、自治体など、どんなに非常事態でも職場に移動しなければならない人たちがいるわけですから、その方々の移動をスムーズにさせるためにも、移動しなくてもいい人、移動を我慢できる人に対しては、出社させるべきではない。

企業側からの指示を、徹底すべきです。

個人の判断に委ねると、状況を読めない社員は「私は大丈夫です」と言って無邪気に通常出勤しようとするでしょう。中には、会社への忠誠心を示すうってつけのアピール材料になると受け止め、張り切って出社しようとする社員もいるかもしれません。

ですから、企業は明瞭に指示命令すべきです。「君が出社することで、社会に迷惑がかかる」と。

■企業の社会的責任を考える機会

これほど交通インフラの機能が制限されるなかでは、よほど徹底させないと、すぐさま許容量を超えます。~中略~

繰り返しますが、企業側の姿勢として、不要不急の社員、リモートワークできるような社員を出社させないようにすべきです。これも企業の社会的責任です。

YAHOO!ニュース 横山信弘|経営コンサルタント 2019年10月11日(金)6:01

 会社は、労働契約に基づき、労働者に対して業務命令権を有しており、労働者は、原則として会社の業務命令に従わなければなりませんが、会社の業務命令が権利の濫用にあたるような場合には、労働者は例外的に業務命令に従わなくてもよいことになります。(労働契約法第3条5項)
通常、電車通勤している従業員に対して、計画運休など電車が動かない場合に勤務を命じることは、会社の業務命令が権利の濫用にあたる可能性があります。

また鉄道各社が計画運休をするということは、相当強い台風だということが容易に想像でき、そのような中で出勤を命じることは、労働者の生命を危険にさらすことになり、安全配慮義務違反にも問われる可能性があります。(労働契約法第5条)

このような場合に無理に出勤させた結果、労働者が通勤途中にケガをしてしまったとしたら、会社は安全配慮義務違反により、労働者に対して損賠賠償することになる恐れがあることに注意しなければなりません。

気象環境が一昔前とは変わっていることを念頭に置いて、会社の管理体制を整えたいですね。

11月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 10月1日から最低賃金が改定されています。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。

ひとこと

 長く続けられているなと、私自身も思っていたのですが、ついに細川通信が第100号となりました。もう8年以上も毎月発行していることになりますが、これも弊所に業務委託をして頂けるお客様があってのことであり、心から感謝申し上げます。本当にいつもありがとうございます。

これからも知識の研鑽に努めて、少しでも多くのお役立ちができればと思っています。

(所長:細川 知敬)

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