細川事務所通信

令和3年10月号 Vol.123

職場でコロナの感染者が出たけど、会社が何も対策してくれない!どこまで求められる?

新型コロナウイルスの感染拡大の「第5波」により、身近に感染者が出たという人も多いようです。~中略~

変わらぬ職場、退職を決意

関西の温浴施設でマッサージの仕事をしていた女性は、職場の対応に「お客様とスタッフを守るという概念はない」と感じ、退職を決意しました。
「お客様もマスクを着用されないていないことがあり、エリアマネージャーに相談したんですが、『マスクをしてない人でも、やらなければなりません!』という耳を疑う返答でした。必要換気量を満たさない小さな換気扇が天井に2つ、空気清浄機の設置もない空間で、電気代がかかるから窓を開けてはいけず店舗内の消毒もしない、タオルも使いまわすなど、私には耐え難い状況でした」

●職場の安全、法律はどう定めている

このような職場の対応について、労働問題に詳しい大木玲於奈弁護士は「安全配慮義務に違反すると判断される可能性が高い」と指摘します。コロナ禍における職場環境の安全性について法律はどう定めているのでしょうか。詳しく聞きました。
ポイント1:厚労省による「職場における対応」指針
職場内での感染防止対策を放置することは、公衆衛生の観点からも問題があることから、厚生労働省は、対応指針を示しています(令和2年3月31日付「新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応」)。

これによれば、
(1)職場内の換気の徹底(1時間に2回程度の換気など)
(2)接触感染の防止(物品・機器等の複数人での共有の回避、消毒、こまめな手洗い、アルコール消毒等)、
(3)飛沫感染の防止(咳エチケットの徹底、換気の徹底、ソーシャルディスタンス等)、
(4)一般的な健康確保措置の徹底(従業員各自の健康管理等)
(5)通勤・外勤に関する感染防止行動の徹底
(6)在宅勤務・テレワークの活用 などを要請しています。
しかし、上記要請は、あくまでも法令ではなく、また、労働安全衛生法等に基づく法的規制と位置付けられるものでもないので、強制力はありません。したがって、これらの要請に違反したからといって労働安全衛生法違反にはなりません。

ポイント2:使用者の安全配慮義務違反
~中略~

労働契約法第5条は、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定し、使用者の安全配慮義務を規定しています。そうすると、使用者としては、先の厚労省の指針 ~中略~ の要請に従い、労働者の生命・安全の保障を確保することも使用者の安全配慮義務の内容になると考えられます。
したがって、上記要請に違反し、労働者の生命・安全の保障を漫然と怠っていると、使用者の安全配慮義務違反があるとして、安全配慮義務履行請求や損害賠償請求を受けることとなります。
~以下略~

2021年9月27日(月)10:02配信 弁護士ドットコムニュースより引用

 労働契約(雇用契約)に伴う事業主の「安全配慮義務」については、たびたびテーマになります。事業主としてやるべきことは「この環境だったら事故等が起きても仕方ないと判断されるような状況を放置しないこと」と言い換えることこともできると思います。

 記事の中にあるような、「従業員に退職を決意」させるような労働環境では問題です。仮にリスクのある労働環境を放置して事故が起きなくても、優秀な従業員が会社を去ってしまったら、業務が滞り、結局、会社が自分自身の首を絞めることになってしまいます。

 従業員がリスクを気にせず「気持ちよく仕事ができる環境」や「仕事に集中できる環境」を作ることが、安全配慮義務(労働契約に伴う事業主の義務)を果たすことになります。

10月給与の注意事項

  1. 9月分保険料から健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が、今年の算定基礎届を反映した額に変更されます。9月末退職者がいる場合は、控除する保険料にご注意ください。
  2. 10月から最低賃金が改定されます。東京都1,041円、千葉県953円、埼玉県956円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。
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