細川事務所通信

平成29年8月号 Vol.73

違法残業1万272カ所 厚労省が是正勧告


 厚生労働省は26日、月80時間超の時間外労働が疑われる2万3915事業所のうち、43%に当たる1万272事業所で違法な時間外労働を確認し、是正勧告を行ったとする平成28年度の監督指導結果を発表した。月100時間超の時間外労働が疑われる事業所を対象にした前年度に比べ、監督指導の数は大幅に増えた。

 厚労省によると、違法な時間外労働があった事業所のうち"過労死ライン"とされる月80時間を超えていたのは7890カ所。月200時間を超えていた事業所も236カ所あった。また、残業代などの賃金不払いが1478カ所、健康診断未実施など健康障害防止措置の不十分が2355カ所で確認された。製造業や運輸交通業で違法な時間外労働が多かった。

 厚労省は「指導により是正されても違反を繰り返す恐れがあり、粘り強く指導していく」としている。

7月26日(水)18:55配信 産経新聞

 昨今、長時間労働に起因するメンタルヘルス問題、過労死、過労自殺などが多く報道されるようになり、その対策のためにワークシェアリングや労働時間の短縮が活発に議論されるようになってきましたが、まだまだ長時間労働の慣習は続いているようです。

 元々、日本の長時間労働文化は、欧米諸国に多く見られるような景気の良し悪しによって「雇用を増減させる」というドライな関係性ではなく、「終身雇用制」に基づいて「企業が苦しい時でも何とか雇用を継続して」その代わりに「繁忙期には残業して乗り切る」というような「従業員を家族のように扱う」暖かい関係性から始まっている一面もあるので、「残業は全て悪である」とするような報道は少し違うのかなと思うことがあります。

 とは言え、従業員の労働時間を管理するのは「会社」なので、「会社」が能動的に労働時間短縮の工夫をしなければ、上記のような問題は大きくなり、増えていくばかりです。ではどうするか?会社が「どうすれば従業員が気持ちよく働けるようになるか?」という思考を持つようになれば、おのずと問題は解決していくものだと思います。

 最近、面白いなと思った事例を下記で紹介させて頂きます。

【1日の労働時間を8時間から7時間に短縮】

 コンクリート製品製造・販売の大和コンクリート工業(豊里友彦社長、社員32人)=うるま市=は昨年7月、1日の労働時間を8時間から7時間にした。コンクリート製造業は3K(きつい、汚い、危険)職場とされ、同社でも離職者が年に1、2人いた。「社員が働きやすい環境づくりに取り組もう。そもそもなぜ8時間なのか。まずはやってみよう」。豊里社長の一声で昨年7月、休憩時間を除く1日7時間労働にした。試験期間を経て、今月になって就業規則を書き換えた。

 企業の多くは労働基準法が定める上限の1日8時間を所定労働時間にしている。食品大手の「味の素」は4月、7時間15分に短縮し注目されたが、大和コンクリート社はさらに短い。基本給は変わらないので実質的なベースアップだ。当初、社員からは「8時間分の業務を7時間でできるわけがない」という声が上がった。納期に間に合うか。品質が落ちないか。プレッシャーでストレスが増さないか。不安は多かった。

 取り組んだのはコミュニケーションの強化とワークシェアだ。基本シフトは午前8時~午後4時と午前9時~午後5時。朝夕の1時間、出勤していない社員がいるので「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」をより密にした。その日で終えるべき仕事を、1人が残業してこなすのではなく、時間内に終わるように手分けした。製品の出荷状況は限られた者だけが把握していたが、ボードに2週間分の出荷指示書を貼り、「見える化」。全員で情報を共有してミスが減った。

 「朝にしっかり段取りして無駄がないようにしている」と入社4年目の鉄筋加工担当の玉城俊さん(33)。「一番変わったのは時間の意識。定時で終わるための効率を、みんなが考えるようになった」。専務の比嘉希さん(43)は社員の変化を評価する。年間売上高の見込みは前年並みだが、労働時間を考えると労働生産性は上がっている。「社員には一生懸命働いてもらうとともに、プライベートも充実させてほしい」

7月18日(火)21:35配信 沖縄タイムス

 誰しも現状精一杯頑張っているつもりでいますし、変化するには非常に労力を要するので、頭では分かっていても、なかなか「改善、工夫、見直し」はできないですし、当たり前のことに対して「なぜ?」と疑問を持つこともためらってしまうものです。しかしチャレンジを続けなければ、せっかくもっと伸びしろのある組織でも、小さくまとまってしまう結果になってしまいます。

 今後の労働力人口の減少を見据えて、上記事例のように「業務の効率化」や「従業員への配慮」は、どの企業でも必須課題となるのではないでしょうか。

8月給与の注意事項

  1. 標準報酬月額決定通知書(算定基礎届の結果通知)が届いたら、内容を確認したうえで、9月からの標準報酬月額の変更の準備をお願い致します。
  2. 夏季賞与の支払いがある場合は、賞与支払届の提出をお忘れなく。

ひとこと

 今年も最も過酷な季節がやってきました。朝起きた瞬間にうんざりするような暑さで、身体も心もめげてしまいますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 私はなるべく冷たいものを飲み過ぎないように注意をして、胃腸の調子を保つようにしています。しかし、段々年を取るとその対策も追いつかず、若干、夏バテ気味…。体調維持のためもう一工夫必要なのかなと感じています。皆様はどんな工夫をされていますか?気が付いたら教えてください。

(所長:細川 知敬)

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