細川事務所通信

令和3年6月号 Vol.119

選択的週休三日制

「選択的週休三日制」とは、希望者が週に三日間休むことができる働き方のこと。多様な働き方を実現するため、2021年4月には自由民主党の一億総活躍推進本部が提言を取りまとめました。選択的週休三日制が導入されれば、育児・介護、治療、学業、ボランティア、兼業・副業など、様々な事情を抱える人々にとって仕事との両立がしやすくなり、企業は人材の確保をしやすくなります。導入にあたって法改正は必要なく、所属企業が労使の合意を得て制度を導入すれば利用できるようになります。

選択的週休三日制のケーススタディ
選択的週休三日制の議論が進む背景は?すでに導入している企業も

日本では1990年代から段階的に土曜が休日になり、現在では多くの企業が週休二日制度もしくは完全週休二日制度を設けています。また、労働基準法の改正で時間外労働の上限規制が導入されるなど、かつての長時間労働国から、徐々に労働環境が改善されています。

経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、2019年における日本の年間労働時間は1644時間でした。1位のメキシコ(2137時間)や2位のコスタリカ(2060時間)、3位の韓国(1967時間)と比べて、短い労働時間になっているにもかかわらず、なぜ今、選択的週休三日制が必要なのでしょうか。

背景の一つには、労働力の縮小という問題があります。日本の生産年齢人口は1995年以降減少の一途をたどり、2030年には7000万人を下回る見込みとなっています。従来の男性に標準化された労働環境のままでは、労働者の確保が難しくなり、女性やシニア、外国人などのさまざまな属性の人を職場に呼び込むためには、多様な労働環境の整備が必要です。とくにITなどの分野で高度技術を持つ人材が不足しており、大学院などで新たな知識を得て社会に還元する、学び直しの促進も想定しているといいます。今回の選択的週休三日制は単に「休みを増やす」ことが目的ではなく、「生産性を高める」ことが目的と考えられます。

いくつかの企業ではすでに導入が進んでいます。ファーストリテイリング、みずほフィナンシャルグループ、ヤフーなどでは、選択的週休三日制を用意しています。(雇用形態や勤務地により制限あり)。このうち、みずほフィナンシャルグループでは週休四日制も選択することができます。給与形態も企業によってさまざまで、週休三日を選択した場合は給与が通常の約8割となるケース、一日あたりの労働時間を増やすことで週休二日制と同じ給与を維持するケースなどがあります。自社で導入を検討する際には従業員の働き方や要望を踏まえて、制度条件を策定する必要があるでしょう。

日本の人事部 より引用

 多様な働き方や人材活用の取り組みの一環で、最近、各種メディアでも取り上げられている「選択的週休三日制」です。弊所でも活用の余地があるか考えたのですが、例えば「若手の社会保険労務士を雇用したいが、あまり給与コストをかけることができない…」といった場合に、「通常の約8割の給与で週4日勤務してもらい、その他の日は兼業・副業をしたり、自分自身の営業活動をしてもらう。」という方法も十分に可能性があると思いました。

 選択的週休三日制を採用する場合も、労働基準法の労働時間規制については注意する必要があります。「使用者は、労働者に、休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて、1日について8時間を超えて労働させてはならない」とされています。

 1日8時間、週4日勤務の場合は、週32時間労働(フルタイムだと週40時間)となりますから、フルタイム労働をした場合の8割の労働力提供をしてもらうことになるので、給与は約8割となります。(もちろん給与水準は下げずに10割払っても差し支えありません。)

 またフルタイム勤務の場合と同様の給与水準と共に労働時間を維持したい場合は、「1か月単位の変形労働時間制」を活用することができます。必要事項を満たして労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出する必要がありますが、1日の労働時間を10時間としても、原則として割増賃金の支払いが必要な時間外労働にならなくなります。(ただし、「月の暦日数に応じた上限時間」を超える場合は、時間外労働になりますので、注意が必要です。)

6月給与の注意事項

  1. 一般事業所の労働保険料の年度更新の申告・納付期限は7月12日(月)です。(提出期間は6月1日から7月12日)
  2. 6月の給与の支払いが終わりましたら、算定基礎届の準備をしましょう!!届出期限は7月12日(月)です。(提出期間は7月1日から7月12日)
  3. 今月支払いの給与から、住民税特別徴収額が改定されます。給与計算の際にはお間違えの無いように、気を付けてください。

(所長:細川 知敬)

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