細川事務所通信

令和4年10月号 Vol.135

10月から変更「新106万円の壁」でパート手取りが年15万円減る人も

「収入がその額を超えると、新たに税や社会保険料がかかる“収入の壁”があります。10月に大きな法改正があり、壁のルールが変わります。知らずに“壁”を超えると“働き損”になることも。“壁”の仕組みをしっかり把握することが重要です。」 ~中略~

■地方のスーパーのパートなども対象に

夫が会社員や公務員などの場合、妻のパート収入が130万円未満なら、夫の社会保険の扶養に入ることができる。「第3項被保険者」として妻は年金や健康保険などの社会保険料を払わなくてすむ。

「ところが妻の年収が130万円を超えた場合、勤務先の社会保険に加入するか、国民年金・国民健康保険を自分で払うことになります。これが『130万円の壁』です」

さらに、2016年から新たに「106万円の壁」が生まれた。

「従業員数“501人以上”の会社で、週20時間以上働き、月収が8万8千円以上あるパートタイマーを会社は社会保険に入れなければならなくなりました。収入が『130万円』未満でも、これらの条件にあてはまる人は社会保険料を払わないといけません。8万8千円は年間でいうと約106万円。これが『106万円の壁』といわれるゆえんです。」

いずれの壁も、超えた瞬間に収入のおよそ15%の社会保険料を払わないといけない。例えばパート年収が106万円を超えると、たちまち社会保険料15万3113円が発生(深田さん試算)。月約1万2760円の手取り減は、かなりの痛手だろう。

しかも、今年の10月からは「106万円の壁」の適用範囲が拡大されるのだ。

「パート先の従業員数が“101人以上”になります。2年後の2024年にはさらに“51人以上”にまで広がります。これまでは『106万円の壁』は大きな会社だけでしたが、中小規模の会社であっても、社会保険に加入する必要が出てくるのです。」

運営する法人が同じ場合、系列の店舗や支社の全従業員を足して考える。地方のスーパーや飲食チェーンなどで働いている人も、10月から新たに「106万円の壁」の対象になる可能性が出てくるのだ。

厚生労働省によると、2024年の拡大もあわせ、65万人のパートタイマーが社会保険に加入することになると見込んでいるという。 ~以下略~

2022年9月22日(木)6:04配信 YAHOO!ニュースから引用

 給与の手取り額が減る「働き損」が解消される分岐点は、年収700万円の夫とパートの妻の世帯手取り収入で試算すると、おおよそ125万円以上の収入にすると手取り額が増えるそうです。

 また「130万円の壁」を超えた場合の分岐点は、153万円となるそうです。しかし、パート先が個人商店などで社会保険に加入できない場合は、国民年金・国民健康保険に自分で加入することになり、分岐点は171万円になるとのことです。(いずれも記事を書かれたFPの深田さんの試算)

 視点を変えて会社側から見た場合、同じパート・アルバイトに今までよりも長く働いてもらえるようになるので、労働力不足を補えるチャンスになります。例えば、時給1,100円で「106万円の壁(月88,000円)」付近で働いていたパート・アルバイトについては、88,000円(月収)÷1,100円(時間給)=80時間/月だった労働時間が、働き損解消分岐点の「125万円(月104,000円)」になると、104,000円(月収)÷1,100円(時間給)=94時間/月と、月に14時間多く働いてもらえるようになります。同様に「153万円(月127,500円)」だと116時間(26時間増)となります。視点を切り替えて、労使ともにメリットのある労働条件を考えましょう。

10月給与の注意事項

  1. 9月分保険料から健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が、今年の算定基礎届を反映した額に変更されます。9月末退職者がいる場合は、控除する保険料にご注意ください。
  2. 10月分保険料から雇用保険料率が改定されます。一般の事業13.5/1000(労働者負担分は5/1000)、建設の事業16.5/1000(労働者負担分は6/1000)にそれぞれ改定されます。給与計算の締日が10月1日以降で当月払い(10月支払い)の会社の場合は、10月支払分給与から雇用保険料率変更になるのでご注意ください。
  3. 10月から最低賃金が改定されます。東京都1,072円、千葉県984円、埼玉県987円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。

(所長:細川 知敬)

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