龍角散(東京都千代田区)を解雇された元法務担当部長の50代女性が6日、同社を相手取って、地位の確認と解雇後の賃金などの支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。訴状などによると、元部長は同社の藤井隆太社長が女性従業員にセクハラをしたとの話を聞いて社内調査を開始したところ、セクハラ被害を捏造(ねつぞう)したなどとして解雇されたという。
訴状などによると2018年12月6日、同社の忘年会に参加した藤井社長が、同席していた女性従業員に抱きついたり、「この首筋がゾクゾクするよ」と発言したりした。元部長は参加者から忘年会でのセクハラがあったと聞き、職務上の調査を開始。女性従業員に事情をヒアリングしたところ、従業員はセクハラの内容を語ったうえで、セクハラについて第三者に相談できる窓口を設置してほしいとの意向を示したという。
ところが、忘年会から11日後の同月17日、元部長は藤井社長から社長室に呼び出され、「セクハラなんてなかったのに、セクハラを捏造してけしからん」などと指摘され、自宅待機を命じられ、今年の3月28日付で解雇されたという。
元部長側は、セクハラについて忘年会に参加した複数人の証言があり、事実であったことは明らかとしており、解雇は会社による解雇権の乱用と主張している。元部長は会見で「忘れてしまいたいが、第2、第3の被害者が出るのを防ぐためには会社の健全化が必要で、勇気を出しました」と話した。
訴状などによると、会社側は解雇の理由について、この女性従業員がセクハラにあたるとは思っておらず、会社に被害を申告する意向もなかったのに、そのような従業員の認識や意向とはことなる申告を元部長がさせたことなどを挙げているという。
龍角散は6日午後、朝日新聞の取材に対し、「訴状が確認できていないので、コメントできることはない」とする一方、同社ホームページに「当社と利害関係を有しない法律事務所に依頼を行ったが、セクハラの事実は認められなかったとの報告を受けている。訴状を受領次第、内容を検討し、適切に対応する」などとするコメントを載せた。 ~以下略~
朝日新聞デジタル 2019年6月6日(木)18:02配信
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と労働契約法第16条に規定されています。この客観的合理性が認められるためには、10人中10人共に「その理由であれば解雇されて当然だ」と思わせるような事実がないと難しいでしょう。ただし、これは争いになった場合のことで、上記の記事のように、解雇された者が「解雇の正当性」について争わなければ、解雇はまかり通ってしまうという現実があります。しかし、昨今は誰でも簡単に弁護士などに助けを求められるようになり、また色々な情報がインターネットで、しかも手元のスマホで簡単に検索できるようになりましたので、泣き寝入りしてしまう被害者はかなり減ってきたのかと思います。会社側としては解雇を勢いで乗り切ってしまおうとするのは危険です。
まだ決着がついていない事案なので、何とも言えませんが、仮に会社側が事実ではないことを正当化しようとしているとすると、当事者以外も巻き込んだ、とても残念な事案です。従業員の士気は当然下がりますし、会社の社会的信用も下がります。また「セクハラ」という犯罪性のある事案なので、組織の管理体制も問われることになるでしょう。
7月給与の注意事項
- 労働保険年度更新および社会保険算定基礎届の提出期限は7月10日です。
- 源泉所得税の納期の特例承認を受けている場合は、7月10日が「1月から6月までの源泉所得税」の納付期限になります。
- 夏季賞与の支払いがある場合は、賞与支払届の提出をお忘れなく。
ひとこと
今年はどんよりと雨の多い、梅雨らしい梅雨になっていますね。湿度計を見ると湿度80%超えていて、空気が重たく感じられます。体調管理はきちんとできているでしょうか?
さて去る6月9日(日)に長野県の王滝村で開催される「SDA王滝」というマウンテンバイクのレースに参加してきました。御嶽山の周囲を通る国有林道を、このレースのために春・秋の2回だけ開放して開催されます。100km、42km、20kmのクラスがあって、指定時間内にチェックポイントを通過しつつ、10時間以内にゴールしなければなりません。山の中なので当然坂道を登りますが、2,340m登っていました。今回が2回目の参加で、私は100kmクラスに参加して、9時間9分40秒で無事に完走してきました。しばらく山道は遠慮したいですね。
(所長:細川 知敬)