業務災害(いわゆる労災)以外で、病気やケガの療養のために働くことが出来ない場合、会社員には「傷病手当金」が支給されます。例えば新型コロナウイルスに感染し、一定期間仕事を休んだ場合や、うつ病などの心の病気で働けなくなった時でも支給されます。給付額は月給の約3分の2の金額が目安で、働けない時に頼りになる制度。
この傷病手当金の制度が2022年1月から改正されました。まず制度についてざっとまとめてみます。対象となるのは健康保険加入者ですが、自営業などが加入する国民健康保険には、原則この制度はありません。
療養のために連続して3日間仕事を休んだ後(待機期間)、4日目以降で仕事を休んだ日に支給されます。支給を始めた日から最長1年6か月で、この期間内でも、もし出勤して働いた場合は不支給となります。いったん出勤して働いたのち、また療養時期に入れば支給が開始されますが、これまでは不支給期間を含めた通算1年6か月が過ぎると終了となっていたのです。
改正後は不支給期間を含めなくなる
今回の変更になるのは「不支給期間を含めた通算1年6か月が過ぎると支給終了」という部分。1年6か月という期間は同じですが、不支給期間を除き、働けなかった期間だけを通算することになりました。つまり、途中で出勤していたとしても、休んでいた期間だけを足して1年6か月までになるのです。受け取れる期間が延びるというわけですね。しかも、1月からの変更ではなく、昨年の令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金についても、同じ計算になるというのはありがたいこと。
なお、コロナ感染による傷病手当に関しては、国民健康保険にしか入っていない場合でも、支給される特例があります。(事業主から給与等の支払いを受けている人が対象)。自治体に問合せしてみてください。
自分で社会保険料を負担するようになると手取りが減って損だから、扶養の範囲で働きたいという声も耳にしますが、こうした社会保険の制度は困ったときほど助けになるもの。給与の損得だけで判断せず、いざという時に利用できる給付金や年金の制度についても、ぜひ知識を深めてほしいと思います。 2022年2月14日11時50分 YAHOOニュース より引用
記事にもあるとおり、令和4年1月1日から傷病手当金の支給期間が改正されました。今までは、支給開始日から1年6か月を限度に支給されていました。しかし1年6か月には復職した期間も含まれるため、復職後に同一傷病が再発しても、支給開始日から1年6か月を経過していると傷病手当金は受給できませんでした。
改正後は「同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達するまで対象」となります。これにより、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合にはこの不支給の期間はカウント(通算)せずに、支給開始日から1年6か月を超えても、繰り返し傷病手当金が受給できることになりました。
この改正は令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金も対象になります。就労と休業を繰り返してしまう方にとっては特に有利な改正です。
3月給与の注意事項
- 3月分(4月納付分)から健康保険料(東京都9.84→9.81%、千葉県9.79→9.76%、埼玉県9.80→9.71%)・介護保険料(1.80→1.64%)が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。
(所長:細川 知敬)