細川事務所通信

平成29年9月号 Vol.74

子どもの病気で「急な欠勤」繰り返したらクビになりそう…どうすれば


子どもが病気になった時、仕事をどうするべきか--。子育てをしながら働く人なら、一度は経験をしたことがあるのではないでしょうか?弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「子どもの病気で急な欠勤が続き、仕事を辞めさせられそう」といった相談が寄せられています。

あるシングルマザーの相談者は、週4~5日、午前9時半~午後4時までアルバイトをしています。採用面接の時にはシングルマザーであることや、「子どもが熱を出して保育園や学童に行けない時は、当日欠勤する可能性がある」と伝えて採用されたものの、担当者が変わった途端に出勤日数を減らされ、さらに「辞めてもらうかもしれない」と言われたそうです。

面接で条件を伝えた上で採用されたとしても、使用者(例えば会社など)側の都合で辞めさせられてしまうのでしょうか。またそのような場合、どうしたらよいのでしょうか。山崎新弁護士に聞きました。

●契約内容を確認しよう

欠勤を理由にした解雇は、避けられないのでしょうか。

「一般的には採用時に欠勤があると確認していたなら、後に使用者がそれを理由に解雇するのは不当です。ただ、採用時に説明していても、そのことがきちんと雇用契約に反映されていたかどうかが重要ですし、また実際にどのくらい欠勤しているのか、業務にどのくらい支障があるかなどにより、解雇が有効になることもありえます。」

相談者は出勤日数を減らされてしまったそうです。

「出勤日数を減らされた点についても契約内容の確認が重要です。勤務日数や労働時間は労働条件の基本ですから、採用の際に使用者が明示しなければなりません。よく確認し、そのうえで契約内容を守ってもらうよう要求・交渉していくべきでしょう。」

~中略~

平成29年8月17日(木)9:25配信 弁護士ドットコム

 労働契約は労働者と使用者の合意に基づいて成立するものです。(労働契約法第6条)また労働契約後のトラブルを避けるため、労働基準法においても「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。…」(労働基準法第15条1項)とされており、具体的には絶対的明示事項として下記事項は必ず書面で通知しなければなりません。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、~中略~
  4. 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 上記記事の「契約内容を確認しよう」にも書かれている通り、労働契約の成立に際して重要な要素となっている部分を使用者(会社)が一方的に変更することは原則的にできません。労働契約法では、労働契約の成立の時と同様に、その変更の際にも「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」(労働契約法第8条)としています。

 出勤日数を減らされるということについては以前から気になっていたのですが、例えば「日給月給で日給12,000円、休日は日曜、祝祭日」として労働契約が成立していた場合、「今日は仕事がないから」とか「今日は天気が悪いから」などの理由で、日曜・祝祭日以外の日に労働者を休ませる場合は、「欠勤」とはならず「事業主都合の休業」になり、休業手当の支払い(平均賃金の100分の60以上の手当、この例の場合7,200円)が必要になります。(労働基準法第26条)

 契約内容の十分な確認、労働契約書(労働条件通知書)への記載の漏れがないかのチェック、使用者(会社)の都合で労働契約の逸脱がないかのチェックなど、一度確認されてはいかがでしょうか。

9月給与の注意事項

  1. 9月より厚生年金保険料率が変更になります。
    社会保険料を当月徴収されている会社は、今月から料率を変更して下さい。
    さらに算定基礎届の結果を踏まえた新標準報酬での社会保険料計算も、9月からになるのでご注意下さい。
    (翌月徴収の事業所様は10月の給与計算から変更して下さい。)

ひとこと

 この夏は雨ばかりで、あまり季節を感じられませんでした…。気候の変動が急激だと体調を崩しがちになりますが、皆様はいかがお過ごしですか?

 さて今年も最低賃金の改定時期が近づいてきました。まだ確定はしていないようですが、各都道府県の引き上げ額の目安については、Aランク26円、Bランク25円、Cランク24円、Dランク22円との答申がされており、「埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪」はAランクになっております…。企業収益が伸び悩む中、経費負担だけ増えていく異常な社会ですよね。もっと中小零細企業目線で政治運営してもらえないですかね…。

(所長:細川 知敬)

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