職場の残業を減らそうと、神奈川県の横須賀市がある取り組みを試した。すると、月によっては前年比で2割ほど減らすことに成功した。その策とは―。
市によると、職員の時間外勤務は近年増加傾向だった。係長以下の約2800人の市職員の時間外勤務は、2015年度は計41万2200時間、市が支払った手当などは約11億4千万円にのぼった。単純計算では「時給約2700円」になった。
1人あたりでは月平均12.2時間。労災認定の「過労死ライン」とされる月80時間超の職員は101人に上り、長時間勤務の是正が課題となっていた。
そこで昨年10月、各課の課長らが、部下が全員帰るまで職場に原則残り、残業の状況を確認する試みを実施した。その名も「帰るまで見守る月間」。部下に声かけして、時間外勤務の状況把握などに勤めた。
その結果、10月の時間外勤務は2万5442時間と前年から2割弱減少。1人あたり月約2時間減った計算だ。さらに、「見守る月間」があ終わったあとの11月~今年3月も、5カ月連続で前年を下回った。
朝日デジタル 平成29年5月9日(火)7:34配信
「あなたの会社に毎晩遅くまで残業している労働者はいませんか?」「労働者の労働時間を適正に把握していますか?」上記の横須賀市でも、今まで「労働時間の適正な把握」が甘くなっていたようですが、会社(使用者)には「労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録する必要があります。(平成13年4月6日付け基発第339号)」
昨今問題となっている「長時間労働による悪影響」としては、例えば「違法な長時間労働の結果、労働基準監督署に書類送検され、刑事罰や事業場名の公表により、社会的信用の失墜、新規採用難など」や「過労死等(脳・心臓疾患、精神障害)などにより、労働基準監督署による労災認定、労働者本人や家族、遺族などから民事損害賠償を提起され、多額の損害賠償の支払いなど」が挙げられます。
上記のような「時間外労働の悪影響が発生しないためのペナルティ」として、労働基準法は時間外労働などに対して、会社(使用者)に「割増賃金の支払い」を義務付けていますが、割増賃金をどの位支払わなければならないのか「具体的なイメージ」を持たれたことはありますか?
労働基準法では「休憩時間を除き、1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならない」とされています。色々な計算方法はあるのですが、今回は一般的な計算方法を以下で紹介します。
1年間は「365日÷7日(1週間)=52.14週」あり、1年間の総労働時間の上限は「54.14週×40時間(1週間の法定労働時間)≒2,085時間」となります。これを12か月で割ると1カ月の労働時間の上限が計算され「2,085時間÷12か月≒173時間」となります。
仮に月給30万円の労働者の時間単価を計算すると「300,000円÷173時間≒1,735円」となり、時間外労働の割増単価は「1,735円×1.25(法定時間外労働の割増率)≒2,169円」となります。
では月に30時間の時間外労働した場合の金額は…「2,169円(法定時間外労働の時間単価)×30時間=65,070円」となり、仮にこのような労働者が10人いた場合は…「65,070円×10人=650,700円」もの割増賃金の支払いが必要になります。
「賃金債権の請求時効は2年ですので、最大2年分の時間外労働割増賃金の支払いを求められる可能性があります。うちの会社は大丈夫!と自信をもって言えますか?」
臭いものに蓋をして、あいまいな労働時間管理をしていると、知らない内に会社を経営危機に追い込んでいるかもしれません。そうならないために、「タイムカードや出勤簿をキチンと管理」し、横須賀市の取り組みのように「帰るまで見守る月間」を実施してもいいかもしれません。この機会に是非セルフチェックをしてみてください。
6月給与の注意事項
- 労働保険料の申告書が届きましたでしょうか? 一般事業所の労働保険料の年度更新の申告・納付期限は7月10日です。(提出期間は6月1日から7月10日)
(パソコンから『労働保険年度更新に係るお知らせ』⇒検索で調べられます。) - 6月の給与の支払いが終わりましたら、算定基礎届の準備をしましょう!!届出期限は7月10日です。(提出期間は7月1日から7月10日)
- 今月支払いの給与から、住民税特別徴収額が改定されます。給与計算の際にはお間違えの無いように、気を付けてください。
ひとこと
春のスッキリした気候から、そろそろ夏の気配が迫ってきましたね。今年の5月は例年よりもかなり雨が少なかったようですが、6月の天気はどうなるのか?水不足の心配はないのか?など、気になっています。
去る5月21日、長野県王滝村で行われる「SDA王滝100km」というマウンテンバイクのレースに出場してきました。御嶽山の周りを走るコースで、年に2回このレースのために開放される国有林の林道コースです。途中3カ所あるチェックポイントを既定の時間内に通過して、10時間以内にゴールしなければなりません。平均登り勾配7%で100km走るうちに2,500mも登らなければなりません。しかも廃道のような砂利道・ガレ道ばかりで「とんでもないところに来てしまったな…」という印象でした。
正直なところ、完走できるかどうか不安もありましたが、無事に9時間27分で完走することができました。体力づくりのために始めた自転車ですが、これで公に「体力"有"の証明」ができますね!これからも「たくさん仕事ができるように」体力づくりに精進します。
(所長:細川 知敬)