細川事務所通信

平成29年3月号 Vol.68

睡眠不足がもたらす膨大な経済損失、頭痛だけでなく生産性の低下も

 睡眠不足は翌日に頭痛や倦怠(けんたい)感を引き起こし、日常生活に支障を来すだけではない。労働者の生産性を低下させ、死亡リスクを高めることにより、日本経済に多大な損失をもたらしている。睡眠不足の原因の1つとなっている長時間労働の抑制に向けて企業も動き出している。  ~中略~

 睡眠不足は、職務遂行能力低下などを通して生産性を下げる。同調査によると、日本は社会全体で年60万日を超える労働時間を損失しているという。1日の睡眠時間が平均6時間を下回る人は、7~9時間の人に比べて、死亡リスクが13%高くなると指摘。6時間未満を6~7時間に増やすことで日本経済には7570億ドルのプラス効果があると試算している。  ~中略~

【勤務間インターバル制度】

 長時間労働の見直しに向けて注目されているのが、勤務終了後、一定時間以上の休息期間を設けることを義務付ける「勤務間インターバル制度」だ。休息時間を確保することにより労働の質を高め生産性を高めることが狙いで、同制度を導入する企業が増えている。

 おむつメーカーのユニ・チャームは、1月からインターバル制度を導入し、全社員に対して、勤務終了から翌日の勤務開始まで8時間以上の休息を義務化した。また、同社では午後10時以降の勤務を原則禁止した。三井住友信託銀行では、12月に、退社から出社まで9時間以上空ける対象を、嘱託を含む全行員に広げた。

 同制度については、すでに欧州連合(EU)では加盟国に最低連続11時間の休息を確保するよう義務付けているが、日本では法制化されていない。厚生労働省によると、同制度を導入している企業は調査した約1700社のうち2%にとどまる。

 政府は勤務間インターバル制度の導入を後押しするため中小企業を対象にした助成金制度を始める。17年度予算で約4億円を計上し、50万円を上限に対象経費の4分の3を補助する方針。就業規則等の作成・変更費用、研修費用、労務管理用のソフトウェアや機器等の導入・更新費用などが対象となる。

Bloomberg 平成29年2月16日(木)8:40配信より引用

 電通事件を契機に、全国で長時間労働是正の議論がなされています。記事の冒頭にもあるように、長時間労働によって「睡眠不足」に陥り、頭痛や倦怠感を引き起こして集中力が低下する。その結果は「労働者の生産性の低下」「死亡リスクの増加」など会社にとっても、日本経済にとっても損失ばかりです。

 私も職業柄、行政への申請作業や文章作成作業など「集中力」を必要とする作業ばかりしておりますが、睡眠不足の時は集中力が維持できず、作業が思うようにはかどらず、ミスが多くなります。繁忙期には、休日返上で仕事をすることもありますが、漫然と長時間仕事をするよりも、メリハリをつけて「決まった時間に集中して仕事をする方」が、ミスなく確実な仕事ができることを実感しています。

 また運送業では、以前から改善基準告示というものが策定されていて、勤務と次の勤務の間の時間すなわち「休息期間」について規制がありました。その規制は「1日の休息期間は継続8時間以上必要」というものです。確かに運転をするにあたって「集中力」が必要なのは言うまでもありません。

 休息時間をきちんと確保することで、労働の質を高め、生産性を高めることができれば、社会にとっても好循環が生まれます。残業代を当てにしている労働者の希望だけは満たせませんが、企業にとっては生産性が上がり、給与コストが下がるのですから、いいことばかりです。今後は同制度に注目し、導入する企業が増えたらいいなと思っています。

3月給与の注意事項

  1. 3月から健康保険料・介護保険料が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。
  2. 雇用保険料率の改正案が本年1月31日に国会提出されて審議中です。法律案の内容に修正がなく成立した場合は、労働者負担・事業主負担ともに1/1,000ずつ引き下げになる予定です。

ひとこと

 1月行く、2月逃げる、3月去るとはよく言ったものです。毎日、時間の経過がとても早く充実した日々を過ごしております。まだまだ暖かいというには物足りない日が続き、おまけに花粉の飛ぶ量が非常に多いので、身体にとっては過酷な状況が続いています。皆様においてはいかがお過ごしでしょうか?

 さて3月給与の注意事項にも書かせて頂きましたが、今年は健康保険・介護保険の2保険と法案修正がなければ雇用保険も保険料率が変更になります。健康保険料・介護保険料については3月分から、雇用保険料については、4月分から変更になりますので、給与計算事務のご担当者様は計算を間違えないように十分にご注意ください。4月1日現在で64歳以上となる方については、雇用保険料が免除になりますので、併せてご確認ください。

(所長:細川 知敬)

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