育児の負担が女性に偏っている現状を是正する方法の一つである男性の育児休業の義務化について、中小企業の70.9%が反対していることが30日、日本商工会議所の調査で分かった。人手不足に悩む運輸や介護・看護といった業種で反対の割合が高く、休業した社員の代替要員の確保が難しい中小の負担感が浮き彫りになった。
調査は7~8月、会員企業を対象に実施し2939社から回答を得た。
取得の義務化に対し、「反対」が22.3%、「どちらかというと反対」が48.6%だった。業種別で二つを合わせた割合が最も高かったのは、運輸の81.5%で、建設、介護・看護が続いた。
2020年9月30日(水)5:23 共同通信 より引用
2019年度の男性の育児休業取得率は7.48%で過去最高となりました。ただし政府は2020年までに育児休業取得率13%を掲げていましたが、達成はほぼ絶望的なようです。
厚生労働省の調査では、1996年度の統計開始以来、女性の育児休業取得率は大幅に増加しており、96年には49.1%だったが、2019年度は83%となっているそうです。一方、男性の育児休業取得率は、2010年から「イクメンプロジェクト」に取り組み、「イクメン」のワードは広く浸透したが、当時1.38%だった育児休業取得率は10年かけて6.1ポイント上昇の7.48%と低迷しています。このような状況の中、男性育児休業の推進策として「男性育児休業を義務付ける法制化」の議論がされるようになったようです。
公益財団法人「日本生産性本部」が2017年度の新入社員に行ったアンケートでは、「子供が生まれたら育休を取得したい」と回答したのは、女性98.2%、男性79.5%とのこと。8割の男性が育休を取得したいと回答しているにも関わらず、日本の企業風土が障壁となって取得率が上がらない。
私が普段、事業主様とコミュニケーションを取る中で感じるのは、「育児休業」という言葉は知っているものの、具体的にどんな制度なのか分からなかったり、育休取得者に対する公的給付制度のことや、一定条件を達成した事業主に対しては助成金がもらえることなど、国の育休推進策がほとんど伝わっていないということです。
事業主にとって負担の大きい「健康保険料、厚生年金保険料」については、育休中は申し出により支払いが免除されます。給与の補償については「育児休業給付」という雇用保険からの給付があり、育休開始から6か月までは休業開始前給与の67%相当額、それ以降は50%相当額が支給されます。この育児休業給付は非課税で、前期の社会保険料免除と併せると、休業前手取り給与の概ね8割程度が支給されることになります。
事業主に対しては、「両立支援等助成金・出生時両立支援コース」というものがあり、例えば就業規則の整備や計画の届出など一定の事前準備を行って、男性労働者に子の出生後8週間以内開始する連続5日以上(中小企業の場合)の育児休業を取得させると、57万円もらえるというものです。
※各種制度の詳細については、厚生労働省のホームページを参考にしてください。
実際に育児休業をさせる現場に有益な情報が届けば、おのずと考え方も変わると思うのですが、いかがでしょうか。
10月給与の注意事項
- 9月分保険料から健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が、今年の算定基礎届を反映した額に変更されます。9月末退職者がいる場合は、控除する保険料にご注意ください。
- 令和2年9月1日より、厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級(第31級・62万円)の上に、が新たな等級(第32等級・65万円)が追加され、上限が引き上げられます。
- 10月から最低賃金が改定されます。新型コロナウィルスの景況により東京都は据え置きの1,013円、千葉県925円、埼玉県928円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。
- 雇用保険では、自己都合で会社を辞めた人が基本手当(失業手当)をもらえるまでの期間を3カ月から2カ月に短縮されます。
ひとこと
今月は割愛させて頂きます。
(所長:細川 知敬)