細川事務所通信

令和3年4月号 Vol.117

雇用調整助成金 不正受給相次ぎ58件2億円超に

新型コロナウイルスの影響などを受けた企業が雇用を維持するために利用できる「雇用調整助成金」の不正な申請や受給が相次ぎ、全国で少なくとも58件、2億6000万円あまりに上ることが分かりました。厚生労働省は「悪質な場合は刑事告発することもある」としています。

「雇用調整助成金」は業績が悪くなっても企業が従業員を休ませるなどして雇用を維持した場合に国が休業手当などの一部を助成する制度で、新型コロナウイルスの影響を考慮して助成率を引き上げる特例措置を実施しています。
去年2月から先月までに300万件を超える申請がありましたが、不正な受給も相次いでいて、NHKが各地の労働局に取材したところ、不正は未遂も含めると全国で少なくとも58件、2億6724万円に上ることが分かりました。
実際には働いている従業員を書類上は休ませたことにしていたり、事業を縮小したように見せかけたりする手口が目立つということです。
虚偽の申請を行って助成金を不正に受け取ると詐欺にあたり、経営者が逮捕されるケースも出ています。
現在、労働局が調査中のケースも多くあり、不正の発覚は今後さらに増えるとみられていて、厚生労働省は「悪質な場合、企業名の公表や刑事告発をすることもある」としています。

国の「雇用調整助成金」を不正に受け取ったとして労働局から調査を受けている30代の男性がNHKの取材に応じました。
男性はブライダル関連会社を経営し、およそ20人の社員を抱えていますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で結婚式のキャンセルが相次ぎ、売り上げが前の年のおよそ10%以下まで落ち込んだ時期があったといいます。
金融機関から緊急の融資も受けましたが会社の財務状況に不安があり、実際には働いていない人を雇用しているように装うなどしておよそ5000万円を不正に受け取ったということです。
男性は「従業員の雇用を守り会社を継続させなければと考え不正を行ってしまった。内部で口裏を合わせれば、大丈夫だと思っていた」と話しています。
会社は、ことし2月に労働局から不正を指摘され、受け取った助成金は返還することにしています。
男性は「全国で申請の数も多いのでまさか自分の不正行為がばれるとは思わなかった。今になって本当に後悔している」と話していました。

東京・渋谷区の法律事務所には「雇用調整助成金を不正に受け取ってしまったがどうしたらよいか」などといった相談が、去年12月ごろから相次いでいるということです。
法律事務所の代表の上原幹男弁護士は「新型コロナの影響が長引いていることもあり、会社の資金繰りが厳しくとにかくなんとかしたいとして不正な申請を行うケースが増えている。各地の労働局が本格的な調査に乗り出しており不正の発覚はさらに増えるのではないか」と話しています。

2021年4月2日(金)NHK NEWS WEB より引用

 新型コロナウイルスの影響を受け、世界中に不安が広がっており、正常な判断ができていないケースがたびたび見受けられます。雇用関係助成金の不正受給に限ったことではありませんが、虚偽申請や不正受給は絶対にしないで頂きたいです。

 雇用関係助成金の共通の要件として「不正受給の場合の措置」が定められています。不正受給を行うと事業主にはデメリットしかなく、例えば「1.不正受給後に発覚した場合は、受給額の20%割り増しした金額を返還しなければならない」こと、「2.不正受給をした後、5年間は雇用関係助成金の受給ができなくなる」こと、「3.不正に助成金を受給した場合は、刑事告発される」こと、「4.不正受給が発覚した場合は、会社名が公表される」ことなどです。

 特に3、4については、会社の事業への影響も大きいと思います。詐欺罪で懲役1年6か月の判決を受けたケースもあるようですし、厚生労働省や都道府県労働局のホームページに、企業名や不正受給の内容が詳しく掲載されてしまいます。

 助成金は受給条件を正しく満たした場合に受給できるものです。どんな時も正しいご判断をお願い致します。

4月給与の注意事項

  1. 3月分(4月納付分)から健康保険料(東京都9.87→9.84%、千葉県9.75→9.79%、埼玉県9.81→9.80%)・介護保険料(1.79→1.80%)が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。

(所長:細川 知敬)

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