細川事務所通信

平成30年12月号 Vol.89

有給取得率、17年は51.1%=20年ぶり水準も、目標遠く


 厚生労働省が23日発表した就労条件総合調査によると、民間で働く人の2017年の年次有給休暇取得率(1人当たり平均)は、前年比1.7ポイント上昇の51.1%と3年連続で増加した。

 1998年(51.8%)以来、20年ぶりの高水準だが、日本の取得率は諸外国に比べてなお低く、政府が2020年の目標とする70%にはほど遠い状況だ。

 取得率は、労働者が与えられた有休日数に対する実際の取得割合。17年の平均取得日数は0.3日増の9.3日だった。

 業種別の取得率を見ると、最低は宿泊・飲食サービス業の32.5%。卸売・小売業、生活関連サービス・娯楽業、建設業も30%台半ばから後半と低く、いずれも最も高かった電気・ガス・熱供給・水道業(72.9%)の約半分にとどまった。

時事通信 平成30年10月23日(火)17:46配信

 2019年4月から、会社が従業員に有給消化(1年に5日)をさせることが義務付けられる労働基準法の改正を受けて、有給休暇に関する相談が増えています。特にパートタイマーの有給休暇取得については、1日の「出勤時間数」や「週の出勤日数」が固定されている方については「勤務日の出勤時間数に応じた給与」を支払えば済みますが、シフト勤務で「1日の出勤時間数」や「週の出勤日数」が一定でないパートタイマーの場合は次のような問題が生じます。

【1.シフト勤務パートの有給休暇の付与日数は何日あげればよいか?】

 労働基準法には、所定労働日数が「週4日以下かつ週30時間未満」の労働者に対して、勤続年数に応じた有給休暇の付与日数が定められています(比例付与)。この条件に当てはまる労働者については、「勤務年数」と「週所定労働日数」または「1年間の所定労働日数」を基に、付与日数が決まります。月ごとに「出勤日数」と「出勤日数」がバラバラの場合は、「有給休暇付与日以前1年間の出勤日数」を基にして、付与日数を決定するなどしましょう。

【2.シフト勤務パートが有給休暇を取ったときに何時間分の給与を支払えばよいのか?】

 「有給休暇を取得した場合は、所定労働時間勤務した場合の賃金を支払う」などと、就業規則で定めている場合は、シフトで決められていた出勤時間数分の給与の支払いをすることになると思います。

 しかしシフトを決めていない段階であらかじめ有給休暇申請があった場合はどのようにすればいいでしょうか?例えば「来月は法事のために〇月×日を有休にしてほしい」などとシフト決定前に言われた場合、その日に「何時間勤務」するのか決まっていません。

 このような場合は、労働基準法では下記のいずれかを支払うようになっています。

  1. 労働基準法第12条に定める平均賃金
  2. 所定労働時間勤務した場合に支払われる通常の賃金
  3. 労使協定で定めた場合は、健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額(例外)

 上記2.を採用する場合は、「有給休暇付与日以前1年間の実労働時間数」から1日あたりの平均所定労働時間数を計算して、有給休暇取得時の給与計算をすることができるかと思います。
(例:週3日勤務で、勤務日ごとに労働時間数はバラバラの時間給パート。12ヶ月で792時間、144日の勤務実績がある場合は、792時間÷144日=5.5時間(1日当たりの平均労働時間数)ゆえに、有給休暇取得日は5.5時間分の時間給を支払う)

12月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払届を忘れないようにしましょう。

ひとこと

 朝夕の寒さが身に染みる時期になりました。私の苦手な季節到来です。今年の1月はインフルエンザでひどい目にあったので、今シーズンはきちんと予防接種を打ちました!年末年始でお忙しいとは思いますが、皆様も体調管理に気を付けてください。

 さて平成30年12月2日は社会保険労務士法制定50周年なんだそうです。これを記念して11月28日から全国の郵便局で「社労士記念切手」が販売されているとのこと。私はまだ買っていないのですが、自分の専門職限定切手なので、とても興味があり記念になりそうです。

(所長:細川 知敬)

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