働き方改革の一環として厚生労働省が昨年1月、指針作成など副業解禁に向けて舵を切ってから約1年が経過し、取り入れる企業も現れている。単純な収入増だけでなく、人脈や経験など本業だけでは得られないキャリア形成ができるといった利点もあり、労働者の関心は高い。ただ、労務管理の難しさなどから解禁に踏み出せない企業も多く、浸透には課題も見え隠れしている。
■休日を活用
指針に先駆け、平成24年から副業を解禁するIT企業「サイボウズ」。自社ウェブメディアの企画、編集を行う入社4年目の明石悠佳さん(26)は昨年1月から、ウェブライターや編集者としての副業を始めた。
もともと雑誌編集者になりたかった明石さん。ツイッターを通じ交流のあった出版関係者から「仕事として文章を書いてみないか」と誘われたことが契機で始めた。
本業終了後や土日の休日を取材、執筆に活用。時間繰りなどで負担を感じることもあるが、楽しい仕事を選んでやれるため「続けられる」と話す。
明石さんは「本業で安定した収入を得ながら夢もかなえられた。今の働き方は自分に合っている」と力を込め、転職や独立は考えていないという。
サイボウズは昨年4月から、会社の資産を使わない場合などは副業の申請も不要にし、週の出勤日数を減らして副業を増やすこともできるようにするなど、従業員が副業をしやすくする環境を整える。
担当者は「禁止すれば副業で得た人脈や経験を生かしてくれなくなる。働き方を自由にすることで魅力ある会社にしていきたい」と語る。 ~以下略~
産経新聞 平成31年2月2日(土)19:21配信
副業で得た人脈や経験など本業だけでは得られないキャリア形成ができるといった利点もあるというのは、なるほどと頷けたのですが、国が目指す「働き過ぎ」を防ぐ「働き方改革」とは違った方向性なのかと思いました。
文中にもありますが「時間繰りなどで負担を感じることもあるが、楽しい仕事を選んでやれるため続けられる」というのは、すべての人に当てはまるわけではなく、単純な収入増を見込んでいる労働者にとっては、かえって「長時間労働の助長」になるのではないかと思います。
企業側が懸念することとしては、「本業の業務に専念してもらいたい」「疲労による業務効率の低下」「健康問題」「情報漏洩」「競合他社への就職による損害の発生」などが考えられます。
他にも「労働時間」に関しては重大な問題があります。法定労働時間については休憩時間を除き「1週間について40時間」「1日について8時間」を超えて労働させてはならない(労基法第32条)とされています。そして労基法第38条第1項では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」とされています。問題は「異なる2以上の勤務先で労働時間を計算するために事務連携が必要なのではないか?」ということです。
本業勤務先では労働者の副業を認めると、副業勤務先にいずれかの方法で「労働時間」を教えてあげる手間が発生するものと思われます。また副業勤務先では本業勤務先から「労働時間」を教えてもらえないと、知らず知らずのうちに「法定時間外労働」をさせてしまうかもしれません。(前者と後者が入れ替わる可能性もあります。)
いずれにしても現状は「様子見」の取り組みで、すべての労働者に当てはめて良いものかは疑問に思っています。
3月給与の注意事項
- 3月から健康保険料(東京都9.90%据え置き、千葉県9.89%→9.81%、埼玉県9.85%→9.79%)・介護保険料(1.57%→1.73%)が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。
ひとこと
2019年2月10日に予定通り事務所移転ができました。固定電話・ファックス番号が変更になっています。お忙しいところ大変恐れ入りますが、登録の変更をお願い致します。
(所長:細川 知敬)