会社を辞めたいけど、やめると言い出せない。そんな悩みに応えようと、本人の代わりに退職に関する連絡をする「退職代行」のサービスがあるという。 ~中略~
利用者はまずLINEやメールで勤務先や退職したいことを伝えるべき担当者名などを送る。利用者が正社員なら5万円、パート・アルバイトなら3万円の費用を振り込むと、同社が退職に関する連絡を代行する。2017年8月に本格的にサービスを開始。これまで2千件の依頼を受けたという。
■同僚退社、社内は騒然「怖くて…」
依頼をした大阪市の男性(28)は、4カ月勤めた中古車買い取り会社を昨年9月に退職した。客の家を訪問して車を査定し、価格交渉をするのが仕事だった。男性によると、上司が示す価格設定は厳しく、客に頭を下げ続けた。説得できないと、「御用聞きじゃねんだよ」と上司に責められた。営業成績が落ちると、「こんなに使えないとは思わなかった」と言われたという。自信を失い、追い詰められて飲酒量が増えた。
同僚が急に退職したとき、「あいつのせいで休みがなくなった」と社内は騒然。もし自分が辞めたいと言ったら―。怖くて想像できなかった。
ある日、友人の弁当屋を手伝った。客が「おいしかったよ」と笑顔で言ってくれた。「人に感謝される仕事がしたい」と思った。翌日、退職代行を依頼した。 ~以下略~
朝日新聞デジタル 平成31年3月25日(月)16:39配信
読んでいるだけで切なくなってしまう内容ですが、近頃では退職も代行してもらう時代なのだと驚いてしまいます。
「雇用契約の終了ルール」については、民法第627条第1項に「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」すなわち「正社員と会社間の雇用契約終了ルール」の規定があり、期間の定めのない雇用契約(正社員の雇用契約)の当事者(会社も従業員も)は、いつでも解約の申入れをできて、解約の申入れの日から2週間を経過すると雇用契約は終了するとされています。
ただし会社側には労働基準法や労働契約法でこのルールが修正されていて、次のルールを守らなければなりません。(会社からの雇用契約終了の申し出は一般的に「解雇」といいます。)
【解雇の原則】
- ルール1 30日以上前の予告を行うか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。(労働基準法による修正)
- ルール2 解雇するためには客観的合理的理由が必要(判例・労働契約法による修正)
- ルール3 解雇の基準があらかじめ示されていること(就業規則や雇用契約書に解雇する場合の理由や手続きの明示)
上記のルールに従う前に、そもそも「解雇ができない場合」があることも確認しておきましょう。
「1.業務上の負傷疾病での休業期間と、その後30日間」「2.産前産後の休業期間と、その後30日間」「3.国籍・信条・社会的身分を理由とする」「4.労働基準監督署に申告したことを理由とする」「5.性別を理由とする」「6.結婚・妊娠・出産したこと、産前産後休業を取得したこと、母性健康管理措置を受けたことなどを理由とする」「7.公益通報をしたことを理由とする」「8.労使協定の過半数代表者になること、なろうとしたことを理由とする」「9.育児休業、介護休業の申し出や取得を理由とする」「10.労働組合を結成したり、組合活動を行ったことを理由とする」などこのような場合は、解雇ができません。
逆に従業員側から雇用契約終了の申し出は、民法通り申入れ(退職届提出日)の日から2週間経過すると有効に終了します。大切な従業員に簡単に辞められないように事業主としての責任を果たしましょう。
4月給与の注意事項
- 3月から健康保険料(東京都9.90%据え置き、千葉県9.89%→9.81%、埼玉県9.85%→9.79%)・介護保険料(1.57%→1.73%)が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。
- 平成31年度の雇用保険料率は、据え置きになりました。(前年と変更なし)
ひとこと
2019年2月10日に予定通り事務所移転ができました。固定電話・ファックス番号が変更になっています。お忙しいところ大変恐れ入りますが、登録の変更をお願い致します。
(所長:細川 知敬)