細川事務所通信

令和5年12月号 Vol.149

雇用保険「週10時間以上勤務」も加入へ 500万人対象

厚生労働省が雇用保険の加入条件の一つとしている週の労働時間について、現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で検討していることが分かった。新たにおよそ500万人が加入する見込みだ。共働き世帯や短時間労働者の増加を踏まえて多様な働き方に対応した制度にする。

2028年度までに拡大する。年内に厚労省の審議会で原案を示し、24年の通常国会に関連法案を提出する。

雇用保険の加入条件には週の労働時間に加え「同じ職場に31日以上雇用される見込みがある」ことなどがある。財源は労働者と企業が負担する保険料と国費で賄っている。現在の料率は企業側が賃金の0.95%、労働者側が0.6%だ。

受けられる給付には、失業者が再就職先を見つけるまでの生活を支える失業等給付や0~2歳の子どもを育てるための育児休業中に賃金を補償する育休給付などがある。

労働時間の規定の緩和でこうした支援措置をアルバイトやパート従業員も広く受給できる。一方で、企業や個人の保険料負担が増える面もある。

厚労省は新たに対象となる人は500万人ほどと推計する。現在の雇用保険加入者がおよそ4500万人で、1割ほど増える計算だ。

2023年11月22日(水)22:06配信 日本経済新聞から引用

 雇用保険は労働者が失業した場合や雇用の継続が困難になった場合、再就職を促進するため必要な保険給付を行っています。また、失業の予防、労働者の能力開発や向上、その他労働者の福祉の増進を図るための事業を行っています。

 保険給付については別個に行われていますが、「雇用保険」は「労災保険」と併せて「労働保険」と言われており、保険料の徴収等については、両保険は労働保険として、原則として一体のものとして取り扱われています。

 現在の「労災保険」「雇用保険」の加入については、下記のように扱われています。

  • 労災保険は、短時間労働者を含むすべての労働者が対象
  • 雇用保険は、一定の条件を満たさない短時間労働者は対象外で条件は下記の通り
    •  条件①:一週間の所定労働時間が20時間以上であること
    •  条件②:31日以上雇用見込みがあること

上記の記事で厚生労働省が新たに検討しているのは、「条件①」の部分で、雇用保険の加入対象者を拡大するというものです。

 働き方の多様化に伴い、雇用保険給付の対象者が増えることは良いことだと思う一方、事業主(会社)の保険料負担や事務負担、ハローワークの現場窓口での事務負担は増えることになります。

 そもそもアルバイトなどの場合、雇う側も、雇われる側も、「一時的、臨時的な就労」と考えている側面もあるのではないでしょうか。仮に東京で週10時間、1か月4.5週間、最低賃金1113円の労働条件を前提とすると月収は約5万円になります。失業給付、育児・介護給付などは必要か、給付を受けるための手続き負担はどうなのか。労使ともに気軽さ、身軽さを求めるとすれば、社会保障の保護までは必要なのか疑問に思えます。物価高に対応するための賃上げ政策を含めて、雇用の受け皿となる事業主(会社)は様々な負担を負っていますが、一部だけ負担が偏らないような政策を出してもらいたいものです。

12月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払届を忘れないようにしましょう。
  3. 10月から最低賃金が改定されています。東京都1,113円、千葉県1,026円、埼玉県1,028円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。

(所長:細川 知敬)

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