細川事務所通信

令和3年8月号 Vol.121

雇用調整助成金の特例年内延長へ 最低賃金引上げを考慮

政府は21日、新型コロナ禍に伴い、助成率を引き上げていた雇用調整助成金の特例措置を、年末まで延長する方針を固めた。最低賃金の大幅引き上げが10月に見込まれることから、中小企業の負担増に配慮した形。同日午後に開く経済財政諮問会議で示し、年内に追加支援策も検討する。

 雇調金は企業が従業員に支払う休業手当の一部を補填する仕組み。政府はコロナ禍で業績が悪化した企業の支援策として、助成の日額上限を約8,300円から1万5千円に引き上げた。中小企業向けの助成率も通常3分の2から、10分の9以上の高水準を年末まで維持する。現行の特例は9月末までを期限としていた。

2021年7月21日(水)9:57 共同通信 より引用

 新型コロナ禍で雇用調整助成金は大いに活躍していますが、その給付決定額は4兆円を超えて、積み立てていた予算を大幅に上回り、失業給付の財源や税金の投入もされるような状況になっています。

 近年、通常時の雇用調整助成金の支給額は、年間数十億円だったため、年間約6,000億円の雇用保険料収入に対して35億円程度の利用を想定しているようです。これを前提に考えると、新型コロナ禍の4兆円という雇用調整助成金の支出は、通常時の1,000倍以上の利用があることになります。またリーマン・ショック後の同助成金の支給額は約6,500億円ですから、約6倍以上に膨れ上がっていることになります。  財源がひっ迫している雇用保険財政ですが、これを回復させるため、国は雇用保険料率引き上げの検討に入っているようです。

 また昨年は新型コロナ禍の影響で、ほぼ据え置きされた最低賃金ですが、今年は28円の引き上げを検討しているとのことです。引き上げ幅は過去最高で、全国平均で現在の902円から930円に引き上げられる見通しです。経営者側は新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化を理由に、現状維持を求めていますが、引き上げを求める労働者側と、全国加重平均1,000円を目指す政府方針を背景に引き上げる方向で検討されているようです。

 経営者にとっては、「雇用保険料の引き上げ」に「最低賃金の引き上げ」とダブルパンチの状態です。雇用調整助成金は緊急時の雇用維持のためのセーフティネットですから、それを含む雇用保険財政の回復のため雇用保険料の引き上げは仕方ない気がします。しかし新型コロナウイルスの感染拡大が依然収まらない中での最低賃金の引き上げは、経営者側が納得できる理由が足りないのではないでしょうか。

 最低賃金が上がって労務費(コスト)が上がっても、労働者の質(クオリティ)が上がるわけではありません。むしろ質の高い労働力にするための工夫が必要になります。

 急激な負荷に耐えるために、より一層の変化が求められることになりそうです。

8月給与の注意事項

  1. 標準報酬月額決定通知書(算定基礎届の結果通知)が届いたら、内容を確認したうえで、9月からの標準報酬月額の変更の準備をお願い致します。
  2. 夏季賞与の支払いがある場合は、賞与支払届の提出をお忘れなく。
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