細川事務所通信

令和2年9月号 Vol.110

経済蝕む猛暑リスク 労働力8000万人奪い感染症も増加

気候変動で想像を超えるリスクが浮き彫りになってきた。洪水や台風などの被害が目に留まりやすいが、地球の急速な温暖化は灼熱(しゃくねつ)の暑さをもたらし、「熱リスク」が人々の健康や経済を蝕(むしば)もうとしている。被害の実態を見通すのが難しいだけに、気づいたときには手遅れになる。リスクとの向き合い方が世界で議論の的になっている。

今年も熱波が世界を襲った。米国カリフォルニア州デスバレーでは8月、気温54.4度を記録した。フランスやスペインでも40度を超える日が続き、当局が警戒を呼びかけている。

国際労働機関(ILO)が温暖化の数ある悪影響のうち、特に指摘するのが「熱ストレス」だ。2019年に出した報告書は、熱ストレスで失う労働時間が30年までに全世界で2.2%に達し、フルタイムで働く8000万人に当たる労働力を失うと分析した。経済損失は2兆4千億ドル(約250兆円)になる。

農業や建設業では暑くて外で働けなくなったり、作業のスピードが著しく鈍ったりする。運輸業や観光業、空調が不十分な工場勤務なども仕事がはかどらなくなる。国際枠組み「パリ協定」の下、今世紀末までの気温上昇を産業革命前から1.5度に抑えても労働生産性の低下は避けられない。

世界の気温はすでに産業革命前より約1度上がった。1度程度の上昇でも長期にわたる暑さで体温調節の働きが破綻し、熱ストレスが心身を侵す。

めまいや極度の疲労は、企業のサプライチェーンなどに悪影響を及ぼし、生産活動や食料供給の停滞を招きかねない。03年に欧州を襲った熱波ではフランスで死者が約1万5千人に上り、社会が大きく混乱した。

こうした暑さが偶然ではなく、温暖化の影響であることを最新のコンピューターシミュレーションは証明しつつある。今や地球の気温は約1度高くなった。科学者らは、今のような「温暖化した状態」と、工業化以前の「温暖化していない状態」の地球をコンピューターで再現した。大量に計算を繰り返してデータを比べた。

温暖化の影響がなければ、18年の日本の猛暑は「発生確率はほぼゼロ」となり、20年のシベリアの異常高温は「8万年に1回未満しか発生しない」との結論を導いた。

~以下略~

2020年8月23日(日)1:30 日本経済新聞 電子版 より引用

最近の雨の降り方や気温の高さは、私たちの想像を超えたものになってきました。昨年、日本各地に被害を及ぼした台風や豪雨を見ても「異常」「猛烈な」「何十年に一度の」などの今まで聞いたことのないような表現が使用されていますし、「危険な暑さ」なんて表現も今までなかったと思います。

私が小・中学生の頃は学校教室にエアコンはなく、夏でも窓を開けて授業を受けていた記憶がありますが、今の暑さではエアコンなしの環境は考えられません。記事にある通り「熱ストレス」で労働生産性が落ちるのもうなずけます。しかも2030年というと約10年後のことですが、フルタイム労働者8000万人分の労働力の喪失、その経済損失は250兆円と恐ろしい予想がされています。

いつも通りの環境があるからこそ、私たちの仕事や生活は成り立っています。地球環境保全については私たち自身のことだけでなく、子供やその先の未来のことまで考える必要があります。今日からできる地球温暖化対策、例えば「短い距離は歩く」「扇風機を上手に使った空調」など、すぐにできることから始めてみませんか。

9月給与の注意事項

  1. 9月分保険料から健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が、今年の算定基礎届を反映した額に変更されます。9月末退職者がいる場合は、控除する保険料にご注意ください。
  2. 令和2年9月1日より、厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級(第31級・62万円)の上に、が新たな等級(第32等級・65万円)が追加され、上限が引き上げられます。
  3. 10月から最低賃金が改定されます。新型コロナウィルスの景況により東京都は据え置きの1,013円、千葉県925円、埼玉県928円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。

ひとこと

 今月は割愛させて頂きます。

(所長:細川 知敬)

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