細川事務所通信

令和4年2月号 Vol.127

人気ラーメン店での暴行事件はなぜおこってしまったのか?

人気ラーメン店で起こった2つの事件

 有名ガイドブックにも掲載されている人気ラーメン店で暴行時間が起こった。2021年9月に、人気ラーメン店の店主が女性従業員に対して断続的に10時間以上もの暴行を加え、女性は警察に被害届を提出。11月に傷害容疑で逮捕され、その後起訴され罰金刑となったという事件が「文春オンライン」によって明らかとなった。
 また2021年11月には、別のラーメン店で元店長によりラーメン店経営者が提訴される騒動が起こった。経営者から蹴られたりスタンガンを自分の顔に押し当てるよう命じられたというパワハラが明らかにされ、未払いの残業代やパワハラ被害の慰謝料などを求めている。会社側の代理人弁護士は「暴力やパワハラではなかった」と否定している。
 いずれの行為も雇用する店の代表者が従業員に対して行ったものであり、その内容も非人道的であり絶対に許されることではない。飲食業はただでさえ過酷な職場というイメージが持たれており、店主が弟子に対して鉄拳制裁を与えるということも過去にはあっただろう。しかし、今は時代が全く違う。それなのに起こってしまった。
 「昭和じゃないんですから、今はそんなことは出来ませんしあり得ません。かつては独立志望の弟子たちに厳しい態度を取る店主はいたと思いますが、今それをしたらすぐに辞められてしまいますし、場合によっては訴えられてしまいます。ただでさえ人手不足だというのに、なぜそんなことが出来るのか不思議です」(都内で経営するラーメン店主) ~中略~

ラーメン業界特有の問題ではなく個人の資質の問題

 会社として複数店舗を経営している場合は、コンプライアンスに対してしっかりと向き合って運営していることがほとんどだが、個人経営のラーメン店の経営者で、組織に属したことが無かったり社会人としての経験値の少ない人の場合は、労基や福利厚生などの遵法意識を持たずに経営している場合もある。
 しかし、そのような遵法意識云々以前に、今の時代は個人が情報発信できる時代であり、誰もがスマートフォンで録音録画が出来、証拠を持つことが出来る。従業員に対して過酷な労働をさせたり暴行を加えたりすれば、SNSなどで告発、拡散されるのは自明だろう。今回の事件でも暴行の様子が録音、録画されておりインターネットで拡散された。仮に法的に無罪だったとしても、飲食店にとって最も重要である社会的信用が失われてしまう。そのことが理解できていないのが不思議で仕方がない。
 常識的に考えれば、今回のような事件が起こることはあり得ないし、ラーメン店をはじめとする飲食業界でも、従業員に対してこのようなことをしても一つもメリットがない。それでも起こってしまったのは、ラーメン業界や飲食業界の構造的な問題ではなく、加害者である個人の資質の問題としか言えない。簡単に言えば、経営者になってはいけない人がなってしまったのだ。
~以下略~ 2022年1月31日7時3分 YAHOOニュース 山路力也 フードジャーナリスト より引用

 人手不足の時代に考えられないようなことが現場で起こっているようです。言い方は色々とありますが、パワハラなどの暴力は、物理的なもの、精神的なものを問わず、全てを一瞬にして破壊します。加害者は大したことではないと思っていても、被害者にとっては命にかかわるような重大事態である可能性があります。

 また、記事の中でもあるように、最近は世の中のほぼすべての人がスマートフォンなどの携帯端末をもっており、行動の一部始終を録音・録画して、SNSなどと通じてすぐに情報発信することができます。良いものも、悪いものも、あっという間に世の中に広まってしまう時代だということを、経営者のみならず、各個人が十分に認識して社会生活を行う必要があります。

 2020年6月1日から「パワーハラスメント防止措置」が事業主(会社)に義務付けられて、大企業等では既に施行されていましたが、2022年4月1日からは中小事業主にも適用されます。具体的には、「職場におけるパワハラの内容やパワハラを行ってはならない旨の方針を明確化して、労働者に周知、啓発すること」や「相談窓口を設けて、労働者に周知すること」などの対策をすることです。

 職場環境を良くすると、労働者のモチベーションが上がり、作業効率も上がり、離職率も低下するなど、様々なメリットがあります。手間はかかりますが、前向きに取り組みたいテーマです。

2月給与の注意事項

  1. 年次有給休暇の取得日数を、従業員ごとに確認して、年5日以上の付与ができているか確認をしましょう。

(所長:細川 知敬)

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