働き方改革関連法で来年4月から全企業に課される年次有給休暇(年休)の消化義務をめぐり、厚生労働省は18日、企業側が年休の消化日を指定したのに従業員が従わずに働いた場合、消化させたことにはならないとの見解を示した。企業側にとっては、指定した日にきちんと休んでもらう手立ても課題になりそうだ。
法施行に必要な省令改正などを検討する労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で、経営側委員の質問に担当者が答えた。働き方改革法では、年10日以上の年休が与えられている働き手が自主的に5日以上を消化しない場合、企業が本人の希望をふまえて日程を決め、最低5日は消化させることが義務付けられる。違反した場合、従業員1人あたり最大30万円の罰金が企業に科されるため、企業は対応に神経をとがらせている。
この日の労政審で経営側委員は、あらかじめ労使協定でお盆や年末年始を従業員が年休を取る休業日と定めておく「計画年休制」を導入している企業の場合、取り扱いはどうなるかも確認。厚労省は、こうした計画年休の日数は、消化義務の5日間にカウントできるとの考えも示した。
朝日新聞デジタル 平成30年7月19日11:04配信
平成30年6月29日の参院本会議にて、働き方改革関連法案が可決・成立しました。改正法の施行日は平成31年4月1日です。この改正法の内、「労働基準法の年次有給休暇(以下、「年休」という。)」については、「年休の付与日数が10日以上の労働者に対し、1年間で「5日以上」は使用者が労働者に年休を取得させる(義務化)」という項目が追加されました。つまり、使用者は労働者から希望を聞いた上で「〇月□日に年休を取得してください」と指定しなければならなくなります。
年休付与義務の対象者 | 年休の付与日数が10日以上の労働者 |
年休を取得させなければならない日数 | 5日以上 |
取得期間 | 年休の付与日から1年以内 |
ここで改めて、年休の取得要件を確認しておきます。年休は「雇い入れ日から6カ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日を付与」しなければなりません。その後は、継続勤務年数1年ごとに一定日数を加算した日数となり、一般の労働者の場合は下記の通りです。
継続勤務年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
年休を取得したか?否か?を、行政がどのように把握するのかは定かではありませんが、新しいルールに合わせるために、対策をする必要があります。
上記の記事にもある通り、その一つの対策として「年休の計画的付与」という方法があります。この方法は「労働者の持っている年休の日数のうち5日を超える部分を、使用者があらかじめ取得日指定する」というものです。
「年休の計画的付与」の導入例としては、年末年始休暇・ゴールデンウイークに「飛び石連休」になってしまう場合に、休日の間の労働日を年休取得日とする方法などです。
【例:2016年5月ゴールデンウイーク】
(日) | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29昭和の日 | 30 |
1 | 2計画年休 | 3憲法記念日 | 4みどりの日 | 5子供の日 | 6計画年休 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
導入のメリットとして、使用者にとっては「年休に関する労務管理がしやすく計画的な業務運営ができる」ことや、労働者にとっては「ためらいを感じずに、年休取得できる」という点です。
年休については、これから議論が活発化するはずですから、先ずは自社の運用状況を確認してどのように対応するか検討していきましょう。
8月給与の注意事項
- 標準報酬月額決定通知書(算定基礎届の結果通知)が届いたら、内容を確認したうえで、9月からの標準報酬月額の変更の準備をお願い致します。
- 夏季賞与の支払いがある場合は、賞与支払届の提出をお忘れなく。
ひとこと
猛暑日が続いておりますが、体調はいかがでしょうか?お盆休みまでもう一息!気を引き締めて行きましょう!
(所長:細川 知敬)