細川事務所通信

令和3年2月号 Vol.115

新型コロナ労災認定1000人近くに 医療従事者や介護職以外も

業務によって新型コロナウイルスに感染し労災申請が認定された人が全国で1000人近くになっていることが、厚生労働省のまとめでわかりました。医療従事者や介護職が8割を占める一方で、運輸業やサービス業などさまざまな業種で認定されています。 ~中略~

どんなケースで認定?

厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染により実際に労災と認定された具体的な事例を、ホームページ上で公開しています。 ~中略~

飲食店の店員の事例

実際に労災と認定された、飲食店の店員のケースでは、感染した人が来店していたことが確認され、検査を受けたところ店員自身も陽性と判定され、その後、複数の同僚の感染が確認されて職場でクラスターが発生したと認められました。

建設作業員の事例

建設作業員の事例では、作業用の車に一緒に乗っていた同僚が感染し、その後、自身も陽性が確認され、この同僚以外に感染した人との接触が確認されず労災と認定されました。

タクシー運転手の事例

タクシー運転手の事例では、感染経路は特定できなかったものの、発症前の14日間に海外や県外からも含めて、日々数十人の乗客を乗せていた一方、私生活の外出は日用品の買い物などで感染リスクが低いと認められ、密閉された空間で感染した蓋然性が高いとされました。 ~中略~

専門家「現状と申請件数に隔たり」

NPO法人「東京労働安全衛生センター」の天野理さんは「感染が拡大しているので職場で増えるのは自然だが、8割以上が医療や介護に従事している人というのは、さまざまな職場で感染が起きている現状と申請件数が合っておらず明らかに少ない。例えば製造業では工場などで100人といった大きな集団感染の例もあるが、厚生労働省のまとめではこれまでの申請は20人で隔たりがある」と指摘して、まだ申請を行っていない人が多くいるのではないかと懸念しています。

天野さんはその原因を3つあげていて「1つ目は感染に対する差別で、声を上げづらく請求しにくい状況にあること、2つ目は、そもそも新型コロナウイルスに仕事で感染した場合に労災申請ができることが周知されていないこと、3つ目は会社や事業所が労働者からの申請の相談に対し手続きの協力を拒んでいることが考えられる」としています。 ~以下略~

2020年11月13日(金)19:20 NEWS WEB ニュース より引用

当初2月7日までの期間で出された第2回目の緊急事態宣言でしたが、思うように新型コロナウイルスの感染のおさまりが見られず、3月7日まで延長されることになりました。また英国などの変異株の国内市中感染も見つかり、昨年からずっと言われ続けていますが、新型コロナにいつ罹ってしまってもおかしくない状況になっています。

厚生労働省からは、「業務によって感染した場合、労災給付の対象になる」旨の広報がされています。具体例は上記の記事の中にありましたが、対象となるのは「感染経路が業務によることが明らかな場合」や「感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合」です。新型コロナウイルスでも労災申請できることを知っておいて欲しいです。

新型コロナウイルスで労災認定を受けることができたら、「労災指定医療機関を受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます。(療養補償給付)」、「療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、休業の4日目から休業1日当たり平均賃金の8割(特別支給金2割含む)の給付を受けることができます。(休業補償給付)」、「万が一業務に起因して感染したため亡くなってしまった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、遺族補償一時金を受けることができます。(遺族補償給付)」、といった給付などを受けることが可能になります。

令和3年1月22日現在、新型コロナウイルス感染症での労災請求件数は、「請求件数:3649(24)」「支給決定件数:1832(16)」「うち支給件数:1790(16)」となっています。

※( )内は遺族請求(死亡)に係る件数で、内数とのことです。

2月給与の注意事項

  1. 年次有給休暇の取得日数を、従業員ごとに確認して、年5日以上の付与ができているか確認をしましょう。

ひとこと

 今月は割愛させて頂きます。

(所長:細川 知敬)

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