細川事務所通信

平成29年1月号 Vol.66

「非正社員にも賞与を」政府指針案 同一労働同一賃金

正社員と非正社員の待遇格差を是正するための「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府がまとめるガイドライン(指針)案の内容が分かった。同じ企業内で基本給や賞与、各種手当などに正規・非正規で待遇差をつけるのが不合理か否かを具体的に例示しており、正社員に賞与を支給して非正社員に払わないのは「悪い例」と明記。各種手当については同じように支払うのが原則としている。

指針案は、約20種類の待遇を列挙し、差をつけることが「問題とならない例」と「悪い例」を示す形式。20日に開く予定の働き方改革実現会議で報告する。

非正社員のうち有期契約社員とパート社員について、基本給、賞与・各種手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目に分けて待遇差が不合理かどうかの基準を示している。

朝日新聞デジタル12月16日(金)8:24配信

■ガイドライン案で示される具体例の一部

悪い例 
  • 勤続年数に応じて有期契約社員に払う給与の金額を、通算ではなく直近の雇用契約期間をもとに決める
  • 正社員には業績に応じたボーナスを払い、非正社員には払わない
  • 非正社員の店長の役職手当が、正社員の店長より安い
問題とならない例
  • パート社員と同じ仕事をする管理職候補の正社員の給料が、パートより高い
  • 正社員にも非正社員にも業績への貢献に応じた賞与を払う
  • 地方に転勤した正社員に地域手当を払い、その地域で採用した非正社員には払わない

 「同一労働同一賃金ガイドライン案」は、昨年末(12月20日)に政府より発表されたものです。そもそも「同一労働同一賃金」とは、いわゆる正規(無期雇用フルタイム労働者)と非正規(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)という雇用形態の間の不合理な待遇差の解消を目指すものであり、その実現に向けて「良い例」「悪い例」を示したものです。

 本来どんな雇用形態で、どのような処遇で雇い入れるかは、労使の合意によって決定されるべきものですが、日本においては「正規雇用と非正規雇用の待遇差が大きい」として、その是正を政府主導で行おうとしているのです。

 なお「同一労働同一賃金」の考えは、「同一企業内で働く正規社員と非正規社員との処遇格差の是正」を目的としているため、そもそも客観的に見て企業内に待遇差がない場合には対象にはなりません。もちろん一般社会での処遇格差に対応するものでもないということです。(A社では冬季賞与が支給されるが、B社においては冬季賞与の支給がないなど…)

 今後の各企業の対応としては、職務や能力等の内容の明確化と、それに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度を、労使の話し合いにより、可能な限り速やかに構築していくことが、同一労働同一賃金の実現には望ましいとされています。できることから少しずつ検討していく必要がありそうです。

1月給与の注意事項

  1. 源泉徴収税を半年に一度の納付にされている会社は、平成28年7月1日から平成28年12月31日までに徴収した源泉所得税を1月20までに納付して下さい。
  2. 給与支払報告書の提出は1月31日までです。
  3. 労働保険料を分納している場合、第3期の納付期限は1月31日までです。(労働保険事務組合に業務委託されている事業所の場合は、1月20日に労働保険料の口座振替があります。)
  4. 平成29年1月1日施行で、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法が改正になっています。就業規則の見直しが必要になります。

ひとこと

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 楽しみにしていた、年末年始休暇があっという間に終わり、新年業務がスタートしているかと思います。私は新年早々、喉だけ風邪を引いてしまい、話をするのがとても苦しいです…。寒さも増々厳しくなっていますので、体調管理に気を付けてください。特に空気が乾燥していますので、喉のケアを十分になさってくださいね。

(所長:細川 知敬)

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