細川事務所通信

令和4年12月号 Vol.137

日本でも解雇は「原則自由」である

ツイッター社の突然の解雇が話題を呼んでいるが、今回のようなケースは海外では珍しくない。事前に通告すると社員が企業秘密を持ち出すおそれがあるので、予告なしに解雇するのが普通だ。SNSへのアクセスも止められ、自分のオフィスに戻ることも禁止され、机に入っている私物は段ボール箱に入れて自宅に送ってくる。

日本の法律でも、解雇は原則自由である。日本の解雇規制は、OECDの基準でも平均よりややゆるやかで、民法627条では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる」と解雇自由の原則を定めている。これは「契約自由の原則」という民法の大原則である。

労働基準法では30日前までに予告するよう定め、組合活動などによる不当解雇を禁止しているだけだが、労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」と定めている。これは過去の判例を立法化したものだ。  ~中略~

雇用流動化の障害は「解雇規制」ではない
しかし現行法でも、従業員が同意すれば自己都合退職だから、規制の対象にならない。「希望退職」はこれに当たる。外資系企業では、退職金を割り増しして同意を得る金銭解雇が普通である。

人事部が従業員と話し合って「訴訟を起こさない」という同意書を書かせれば、日本でも金銭解雇できる。中小企業では、日常的に解雇は行われている。大企業の経営者が「評判」を恐れて解雇しないだけである。

要するに、雇用を流動化する上で「解雇規制」は大した問題ではなく、司法の温情主義が最大の障害なのだ。終身雇用にせよ年功序列にせよ、法律で決まっているわけではなく、正社員という暗黙の規範で決まっているだけだ。これにも法的根拠はない。

ただ判例は厳格に労働者を保護しているので、法律で金銭解雇を認め、整理解雇などの判例を上書きする必要がある(労働契約法16条は廃止すべきだ)。もっと重要なのは昔ながらの「企業は一家」という労働倫理を変えることである。

2022年11月06日(月)16:37配信 アゴラ言論プラットフォームから引用

特殊な場合を除いて、雇用契約の始まりについては「労使の合意」があるはずです。例えば会社Aの求人広告(労働条件)に応募して来た労働者Bと雇用契約を結ぶなどです。会社Aと労働者Bの意思が合致して、合意により雇用契約が成立します。

逆に、雇用契約の終わりについては、労使いずれかの一方的な解約の意思表示によって終了するケースが多く見受けられます。労働者側からは「自己都合退職」がこれに当たり、意思表示の日から2週間経過すると雇用契約が終了します。

会社側からは「解雇」がこれに当たりますが、労働者側からの解約の意思表示と異なり、記事にあるように労働基準法、労働契約法に規制があります。特に労働契約法16条の規定に違反して解雇を行うと、後々、労働者側から解雇無効の訴訟を起こされる可能性があります。ここで解雇無効と判断されると、解雇した日から判決が出た日まで雇用契約が有効に存在していたことになり、その間の給与を支払わなければなりません。

労使いずれかからの一方的な意思表示では、特に受け取る側の心理的な負担が大きく反動があるでしょう。そこで退職合意という方法にすれば、雇用契約の終了についても「労使の合意」により契約を解消することができます。会社側からの申出が多いかと思いますが、希望退職や退職勧奨などがこれに当たり、雇用契約の解消について「会社都合退職の離職票を作成」したり、「退職金の上積み」をして、労働者の合意を得るというものです。

労使トラブルは、お互いのコミュニケーション不足である場合が多いです。キチンとした話し合いをして「合意を得る」ということが大切です。

12月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払届を忘れないようにしましょう。
  3. 10月から最低賃金が改定されます。東京都1,072円、千葉県984円、埼玉県987円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。

(所長:細川 知敬)

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