細川事務所通信

令和5年4月号 Vol.141

給与から引かれる「健康保険料、介護保険料、雇用保険料」この春から増える人も

毎月の給与からは税金や社会保険料などが天引きされています。このため、基本的には給与の額面と手取りが一致しません。2023年度からは、天引きされる保険料が変わるため手取りが減ってしまう人もいます。今回開設する保険料は以下のものです。
・健康保険料(協会けんぽの場合)
・介護保険料
・雇用保険料
どのような人に影響があるのかについて、詳しくみていきましょう。

40歳から65歳未満は介護保険料が値上げに

40歳~65歳未満の方が支払う介護保険料は、現在1.64%です。2023年3月分(4月納付分)からは、1.82%に引き上げられます。厚生労働省が2023年2月27日に公表した資料によると、2023年度の第2号保険料(40歳から64歳)の見込額は6216円で、過去最高水準となる見込みです。2021年度は5788円、2022年は6105円だったので、毎年増加傾向にあることがわかります。高齢化社会が進み、財政が年々圧迫されている介護保険制度。そのため、40歳~64歳が支払う介護保険料(第2号保険料)は上昇傾向にあるのです。介護保険料は健康保険料に含まれているため、単体で支払うわけではありません。給与に連動するため、実際には個々で金額が異なることにも注意が必要です。次はそんな健康保険料について見ていきましょう。

健康保険料が値上げになる都道府県も

健康保険にはいくつか種類があります。
・協会けんぽ…中小企業で働く従業員
・組合管掌健康保険…大企業で働く従業員
・共済組合…公務員や私立教職員
・船員保険…船員
・後期高齢者医療制度…75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)のすべての人
・国民健康保険…上記外の自営業やフリーランスなど
このうち協会けんぽの保険料率は、都道府県によって異なります。

福井支部が2023年2月21日に公表した資料によると、2023年度の健康保険料率は9.91%で、2022年に比べて0.05%の引き下げとなります。しかし、栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・福岡県では値上げになることがわかっています。これらは健康保険料に含まれるため、引き下げになる都道府県であっても合計の天引き額はあがることがあります。健康保険料率の改定は3月からですが、4月納付分からの変更となるため、ほとんどの方は4月の給与にて手取り額が変わることとなります。

2023年4月から雇用保険料が値上げになる人

2023年4月1日からは、雇用保険料率の値上げも予定されています。
・一般の事業の労働者負担:6/1000
・農林水産・清酒製造の事業の労働者負担:7/1000
・建設の事業の労働者負担:7/1000
例えば一般の事業で働く月収30万円の人の場合、これまでは1500円の負担だった保険料が、4月からは1800円になります。その他の保険料負担も増える方にとっては、例え数百円の負担でも重く感じるかもしれません。天引きされる金額は、給与明細でしっかり確認しておきましょう。~以下略~

2023年3月25日(土)5:02配信 YAHOO!ニュースLIMOから引用

私が社会保険労務士の受験生だった平成15年頃の保険料率はどのくらいだったかなと、久しぶりに振り返って確認してみました。健康保険料率8.2%、介護保険料率0.89%、厚生年金保険料率135.8%、雇用保険料率・一般7/1000、農林清酒8/1000、建設業8/1000となっていました。

 健康保険料率は、平成21年9月から都道府県単位保険料率になるまで全国一律の料率でした。厚生年金保険料率も平成29年9月まで毎年0.354%ずつ段階的に上がっていました。(令和5年現在18.3%)介護保険料率は平成15年当時と比べると2倍の料率になっています。意外だったのは雇用保険料率で当時とあまり変わらない水準です。当時は完全失業率が約5.5%と高水準でした。(令和5年1月2.4%)

4月給与の注意事項

  1. 3月分(4月納付分)から健康保険料(東京都9.81→10.00%、千葉県9.76→9.87%、埼玉県9.71→9.82%)・介護保険料(1.64→1.82%)が変更になります。給与計算の際には間違いのないように注意してください。
  2. 4月分保険料から雇用保険料率が改定されます。一般の事業15.5/1000(労働者負担分は6/1000)、建設の事業18.5/1000(労働者負担分は7/1000)にそれぞれ改定されます。今年も年度更新では概算賃金の設定に注意しましょう。

(所長:細川 知敬)

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