2022年4月から安全運転管理者による運転者の運転前後のアルコールチェックが義務化されています。具体的には、下記の業務が順次義務化されています。
【2022年4月1日から義務化された内容】
- 運転前後の運転者の状態を目視等で確認して、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
- 確認した酒気帯び有無について記録し、この記録を1年間保存すること。
【2022年10月1日から義務化される内容】
- 運転者の酒気帯びの有無の確認を「アルコール検知器を用いて行う」こと。
- アルコール検知器を「常時有効に保持」すること。
【そもそも安全運転管理者とは?】
安全運転管理者は、事業用自動車の安全運転・運行に必要な指導や運行計画、運転日誌の管理を行います。
白ナンバーで「乗車店員が11人以上の自動車を1台以上」または「その他の自動車を5台以上保有している」事業所で選任が必要になります。
緑ナンバーの車を保有している事業所は、運行管理者が選任されることから、安全運転管理者を選任しなくてもよいことになっています。(ただし、運行管理者の他に、安全運転管理者の選任を妨げるものではないとのことです。)
また、安全運転管理者は兼務できないことに注意が必要です。例えば「同じ本拠地でも事業所が異なる場合」などはそれぞれの事業所ごとに安全運転管理者を選任する必要があります。
【安全運転管理者に必要な資格・要件】
安全運転管理者は、下記の要件を満たしている必要があります。
- 年齢が20歳以上であること(副安全管理者を選任する必要がある場合は、30歳以上)
- 自動車の運転管理に関して2年以上の実務経験があること
要件を満たせばどなたでも構いませんが、例えば、点呼の際に酒気帯びを確認したら、適切に運転者を統率管理できる人物を選任することが望ましいです。
また、下記の欠格要件に該当している場合は、安全運転管理者になることができません。
- 過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けた者
- 酒酔い、酒気帯び運転、妨害運転、無免許運転などの違反行為をして2年以内の者
- 酒酔い、酒気帯び運転、過労運転、無免許運転などの違反を下命・容認して2年以内の者
【安全運転管理者の業務】
- 交通安全教育
- 運転者の状況把握
- 安全運転確保のための運行計画の作成
- 長距離、夜間運転時の交代要員の配置
- 異常気象時等の安全確保の措置
- 点呼等による飲酒、過労、病気その他正常な運転をすることができない恐れの確認と必要な指示
- 運転日誌の備え付けと記録
- 運転者に対する安全運転指導
【アルコールチェックが義務化された背景】
2021年6月28日に千葉県八街市で児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、5人が死傷する交通死亡事故が発生しました。運転していたトラックが白ナンバー車であり、当時はアルコールチェックが義務化されていなかったことが今回の法改正の背景にあります。
【アルコールチェックの記録保存】
下記の事項について記録保存が必要になります。
- 確認者名(点呼者)
- 運転者
- 運転者の業務に係る自動車のナンバーなど
- 確認の日時
- 確認の方法
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
運転者と自動車ごとに記録管理しなければならないので、非常に手間がかかります。アルコールチェッカーとスマホなどを連動させて自動で記録作成・保存するクラウド管理サービスも多数ありますが、それなりのコストがかかります。
業務を怠った場合の罰則はないようですが、違反が発覚した場合は様々なペナルティを受ける可能性があります。また、万が一飲酒運転で事故を起こしてしまった場合は、ペナルティを受けるだけでなく、社会的信用を失い事業存続できなくなる可能性もありますので注意が必要です。
9月給与の注意事項
- 9月分保険料から健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額が、今年の算定基礎届を反映した額に変更されます。9月末退職者がいる場合は、控除する保険料にご注意ください。
- 10月から最低賃金が改定されます。東京都1,072円、千葉県984円、埼玉県987円となります。近年急激に最低賃金額が上がっていますから、最低賃金割れになる従業員様がいないようにご注意ください。
(所長:細川 知敬)