細川事務所通信

平成28年12月号 Vol.65

残業規制へ労基法改正案を国会提出か


【2017年に国会提出の公算】

 政府は、時間外労働時間の規制があいまいな現行の労働基準法を改正し、2017年中に改正法案を国会に提出する方向だ。複数の関係筋が明らかにした。具体的には労働基準法36条もしくは関連法案を改正し、月間45時間ないし80時間の上限を明記する公算が大きい。

 また、現行法では残業規制の例外職種となっている運転手や建設労働者にも、残業上限を適用することも検討している。

 複数の関係筋によると、政府の働き方改革会議で来年の3月末までに取りまとめる「働き方改革実行計画」の中で、残業時間の上限について、具体的な内容を盛り込む方向で議論する。 ~中略~

 実行計画では、過労死の原因と指摘されている長時間労働を規制するため、時間外労働の上限を明記するのか、明記する場合は上限をどの水準に設定するのかが、最大の焦点になるとみられている。

 現行法では、労働基準法36条に基づく労使間の協定(通称:36協定)を締結すれば、週40時間の法定労働時間を超えて、企業が雇用者を労働させることができる。その延長の限度は、大臣告示で1カ月45時間・年間360時間となっている。

 しかし、特別の事情が生じた場合にさらに延長できる「特別条項付き36協定」を結んだ場合、事実上、制限のない「青天井」の時間外勤務を課せられるケースもあるとの指摘があり、その点が制度見直しの最大のポイントとなっている。

 関係筋によると、連合は月45時間の上限を基準にどこまで譲れるか、交渉次第とする姿勢を示す見通し。経団連は「過労死基準」と呼ばれる月80時間や、割増賃金が上がる60時間などを基準として連合との間で歩み寄りを探る。

 さらに運転手や建設労働者など現行法で規制の例外業務となっている職種にも、経団連、連合の両者で適用を検討する。

 このほか、法律に違反した場合に適用される罰則(現行:罰金30万円あるいは6カ月以下の懲役)規定を強化することなども検討対象になる見通し。 ~中略~

 また、電通で過労死事件が発生し、政府関係者の間では「時間外労働の規制議論はここへきて、より厳しい空気となっている」との受け止め方が浮上。 ~中略~

ロイター2016年11月7日

 既に報道でご存知の通り、電通での過労死事件を受け、日本中を巻き込んだ長時間労働規制の議論が活発化しています。日本には日本独自のバランスの取り方があると私は思っており、明らかに過労死基準を超えるような長時間労働は論外ですが、残業することすべてを悪とするような議論、報道には違和感を覚え、我々はこの問題の受け止め方を間違えてはいけないと思います。

 一部の権力を乱用する身勝手な人達のせいで、我々の仕事環境が厳しくなるのは非常に心苦しいですが、長時間労働について何がいけないのか再認識するチャンスと捉えることもできます。

 長時間労働の事業主リスクは、例えば「割増賃金が発生すること」「従業員の身体的・精神的健康リスクが発生すること」「疲労により指揮が低下すること」「疲労によって注意散漫になり各種事故発生リスクが高くなること」など、他にも多く考えられると思います。

 事業の健全・安定運営と従業員様の健康・安全配慮を考えられるのであれば、お互いが苦しむような間違った判断はしえないのかと思います。

12月給与の注意事項

  1. 年末調整の準備をしましょう。
  2. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払届を忘れないようにしましょう。

ひとこと

 あっという間に12月です。先日は関東で早々に雪が降り、11月の降雪は54年ぶり、積雪にいたっては1875年の観測史上初ということでした。たまたま気象条件が重なっての事象かと思いますが、今年の冬は例年以上に寒くなるのかなと、心配してしまう出来事でした。

 さて10月からお伝えしております通り、既に各種控除証明書がお手元に届き、年末調整をする時期になりました。昨年から運用が始まっておりますが、年末調整事務には「マイナンバー」が必要になります。昨年、お取り付けが上手くいかなかった従業員様がいらっしゃいましたら、今年は改めてしっかりと案内をして、「マイナンバー」のお取り付けをしてください。よろしくお願い致します。

(所長:細川 知敬)

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